
Tango の CRISPR ベース合成致死プラットフォームは、Gilead との最大60億ドル超に及ぶ免疫オンコロジー提携(15ターゲットまでの option 付き)を通じて、科学的にも資本市場的にも外部バリデーションを獲得している。
過去数年はこの提携収入が R&D の相当部分をカバーし、希薄化リスクを緩和してきた。CEO の Barbara Weber は、Novartis/GSK などで 25年以上オンコロジーR&Dを率い、Third Rock では Tango や Relay の立ち上げにも関与した “臨床オンコ+大手R&D+バイオ創成” のフルスタック型。
R&Dトップの Adam Crystal(元 Harvard MGH 腫瘍医)は合成致死コンセプトと親和性の高いトランスレーショナル腫瘍バイオロジーのバックグラウンドを持ち、CFO の Beckman を含め、大手製薬とコラボしながらファーストインクラス標的薬を前臨床からPoC、レジパス設計まで持っていく経験値は十分に高いチーム構成。
承認済み製品:なし(開発中)
主力候補:TNG462(MTA協調型PRMT5阻害)— MTAP欠失の膵がん/肺がんを中心に適応探索中。
補足:TNG456(脳移行性PRMT5阻害・GBM含む)、TNG260(CoREST阻害・免疫増感)を並行開発。TNG908はリソース集中のため縮小フォローへ、TNG348は中止済み。
対象:MTAP欠失の膵がん/肺がん ほか
作用:MTA協調型 PRMT5 阻害
対象:MTAP欠失の膠芽腫(GBM)および他固形腫瘍
作用:脳移行性 PRMT5 阻害
対象:STK11変異/RAS野生型の非小細胞肺がん
作用:CoREST 複合体阻害(pembrolizumab 併用)
| パイプライン | 対象 | 臨床フェーズ | 規制デザイン | 安全性(AESI) | 用法・用量 / 併用戦略 | 市場規模イメージ | ポイント(市場評価) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| TNG462(PRMT5・MTA協調) | MTAP欠失固形がん(膵/肺 中心) | Phase 1/2 | 適応探索型 P1/2(単剤)+ 併用P1/2 | クラス留意:血液学的・肝酵素・倦怠感等を監視 | 単剤→RAS(ON)阻害薬(daraxonrasib/zoldonrasib)併用拡大 | 中〜大:膵/肺のアンメット大 | Q4 2025単剤データが鍵。 2026登録試験の現実味を左右 |
| TNG456(脳移行性PRMT5) | MTAP欠失GBM ほか | Phase 1/2 | 用量漸増→拡大 | CNS関連AESI、血液学的事象のプロファイル確認 | 単剤中心。必要に応じて放射線/アルキル化剤との併用仮説 | 中:GBM含むCNS腫瘍 | 脳移行性の差別化。 初期読出しは2026以降 |
| TNG260(CoREST阻害) | STK11変異/RAS WT NSCLC | Phase 1/2 | 抗PD-1(pembro)併用の用量拡大 | 免疫関連事象(irAE)と肝酵素変動を重点監視 | pembro併用を基本、他IO剤併用の余地 | 中:STK11変異の高未充足サブセット | SITC 2025初データの質が鍵。 次段階設計に直結 |
| TNG462+RAS(ON)阻害(併用コホート) | RAS変異かつMTAP欠失の膵/肺 | Phase 1/2(併用) | 用量漸増(daraxonrasib / zoldonrasib) | 重複毒性(血液・肝・皮疹・消化器)に留意 | 連続経口併用(詳細は試験票準拠) | 大:RAS変異集団の重なり | 生物学的合理性が高い。 用量設定確立が成功の肝 |
| TNG908(初代PRMT5) | MTAP欠失固形がん | 開発縮小(フォローアップ) | 後続世代へリソース集中 | — | — | — | ポートフォリオ選別により価値集中 |
- 合成致死×免疫増感の二本柱:PRMT5(TNG462/456)とCoREST(TNG260)に集中し、読出し頻度と資源効率を最適化。
- 外部シナジー:Revolution Medicines の RAS(ON)阻害薬との併用で膵/肺の高難治集団を狙う。
- 財務余力:現金等$180.8MでQ1 2027までのランウェイ(Q2’25時点)。
TNG456 Phase 1/2 開始
5/21に初回投与。脳移行性PRMT5としてGBM含むMTAP欠失腫瘍で用量漸増。
TNG462×RAS(ON) 併用 試験で初回投与
6/27にdaraxonrasib / zoldonrasib併用コホートの初回投与を完了(NCT06922591)。
TNG462 単剤データ更新 / TNG260 初臨床データ
膵/肺コホートの有効性・忍容性アップデート、SITC 2025でTNG260初データ。
TNG462 登録試験の可否判断
Q4 2025データを踏まえ膵がんでのレジストレーショナル試験開始可否を決定。TNG456/TNG260の追加解析も進行。
TNG462 単剤データ更新、TNG260 初臨床データ(SITC 2025)、TNG462×RAS(ON) 併用の用量漸増進捗
TNG462 登録試験(膵がん)開始可否、TNG456 初期安全性/PK更新、TNG260 次段階デザイン
適応拡大・併用最適化、ポートフォリオの資源配分再最適化
