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【RGLS】Regulus Therapeutics のカタリストとロードマップ

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【RGLS】Regulus Therapeutics のカタリストとロードマップ

買収の背景

「データで “実質デリスク” → FDAとピボタル設計合意 → 希少腎領域を強化したいノバルティスに最適」という流れで、RGLS の「farabursen(RGLS8429)」が買収されました。

2025年4月30日にノバルティスが買収合意を発表、6月25日に買収完了。対価は1株$7の現金+規制マイルストン達成で追加$7(CVR)=最大約$17億規模。直近終値に対し約108%プレミアム。

「farabursen」はmiR-17阻害の腎臓志向オリゴ(ADPKD=遺伝性多発性嚢胞腎向け)。腎不全の最も一般的な遺伝的原因で、現行標準薬はトルバプタンのみという状況。

買収のタイミング

Ph1b(MAD)完了で手応え:2025年3月27日にPh1b完了を発表。尿中PC1/PC2上昇(機序マーカー)と腎容量(htTKV)増大の抑制/停止を示唆、安全性良好。これでQ3 2025の単一ピボタル(Ph3)開始計画が現実味に。

FDAと設計合意&AA(迅速承認)示唆:単一ピボタルでの承認(必要ならAA→フル承認)に向けた主要設計合意が開示され、規制面の見通しが立った。

競争入札の発生:JPM後〜4月にかけて**複数社(最大6社)**が打診→最終的にNovartisと他社の競りになり、4/28の最終提示でNVSが勝利。

ノバルティスの戦略的整合

希少腎ポートフォリオの拡充:NVSは希少腎/腎領域を重点強化しており、トルバプタンの課題(肝毒性・アクアレシス負担)が残るADPKDに機序差の“疾患修飾”候補を追加できる。公式発表も “希少腎ラインアップ拡張” を明示。

技術資産(RNA/オリゴ)取得:miRNA/腎指向オリゴの特許群とプラットフォームを取り込み、腎臓標的のRNA創薬を垂直統合。

臨床的背景

機序の妥当性:miR-17抑制→PC1/PC2回復→嚢胞成長抑制という原因経路に刺さる一貫したストーリー(前臨床/初期臨床)。

サロゲートの一貫性:PC1/PC2(PD)とhtTKV(疾患進行のサロゲート)が方向性一致。一部公開資料ではhtTKV増加の停止/低下が示唆され、腎機能低下遅延の可能性に直結。

開発の見通し:Q3 2025にPh3開始計画(単一ピボタル)。承認までの時間軸が鮮明になった。

以上のように、“良い初期データ+規制の確度+戦略的フィット感” が一気に揃ったタイミングで、入札競争の末にノバルティスが最大約$17億で RGLS ごと囲い込んだ――これが「farabursen」買収の背景です。

承認済み製品 / 現状

承認済み製品:なし(開発中)

主力候補:farabursen(RGLS8429, miR-17阻害)— ADPKD(常染色体優性多発性嚢胞腎)を対象。

補足:他に前臨床のmiRNA創薬基盤を保持していたが、買収時点の臨床パイプラインは事実上 farabursen 単独。

主要臨床成績
0.05%
htTKV成長率(300mg Q2W, P1b完了時平均)

336
想定P3被験者数

2025 Q3
ピボタルP3開始予定

2025/6/25
Novartisによる買収完了

臨床試験パイプライン
Phase 1
farabursen(RGLS8429, SAD)

対象:ADPKD

所見:2022年9月完了、安全性/PK良好。

Phase 1b
farabursen(RGLS8429, MAD Cohort1–4)

対象:ADPKD

所見:尿中ポリシスチン用量反応を確認。300mg Q2Wで腎容積成長を平均ほぼ停止。

主要評価項目:htTKV抑制効果
完了:2025/3/27 発表

Planned P3
farabursen(RGLS8429)

対象:ADPKD

設計:被験者約336名、2:1割付、300mg皮下 Q2W。

AA:12か月htTKVでAccelerated Approval
本承認:24か月eGFRで本承認
開始予定:2025 Q3

パイプライン早見表
パイプライン 対象 臨床フェーズ 規制デザイン 安全性(AESI) 用法・用量 / 併用戦略 市場規模イメージ ポイント
farabursen(RGLS8429) ADPKD P1b完了 → P3計画中 EOP1合意(2025/1)
単一ピボタルP3で12か月 htTKV→AA24か月 eGFR→本承認
オリゴ核酸クラス想定:
注射部位反応、肝酵素上昇、血小板/腎機能のモニタ、
軽度インフル様症状
反復SC投与(P3プロトコール準拠、低頻度設計を想定);
標準治療は継続可/併用管理(試験規定に従う)
大:ADPKD(数十万人規模) P1bで腎容積成長の平均停止(0.05%)を確認し、歴史的プラセボ対照比で有意。
2025 Q3にP3開始予定。

ポイント

Regulusは、ADPKDに特化したmiRNA創薬で注目を集め、P1b成功を経て2025年Q3の単一ピボタルP3に進む直前にNovartisに買収されました。
買収条件は$7/株+最大$7/株のCVR(総額最大約17億ドル)。この案件は、大手がアンメット領域の早期臨床パイプラインを取り込む典型例とされています。

開発ロードマップ
2022/9

Phase 1(SAD)完了

単回投与試験を終了。安全性およびPK良好と報告。

2023

P1b Cohort1 初期データ

尿中ポリシスチン(PC1/PC2)の低下を確認。用量反応の兆候を得る。

2024/3/12

P1b Cohort2 トップライン発表

Phase 1b(MAD)第2コホートのポジティブなトップラインデータを開示(ADPKD:RGLS8429)。
第3コホートのエンロール進捗にも言及。

$100M私募 / P1b Cohort2 データ

資金調達とともに、P1b中間データを発表。

2025/1/29

P1b Cohort4 中間解析 / FDA合意

End-of-Phase1合意。単一P3でAA・本承認を狙う設計に合意。

2025/3/27

P1b全コホート完了

固定用量300mg Q2W×3か月で腎容積成長ほぼ停止。P3を2025 Q3に開始見込み。

2025/4/30

Novartisによる買収合意

$7/株+CVR $7/株、最大17億ドル規模で買収発表。

2025/6/25

買収完了

RegulusはNovartisの完全子会社となる。

注目すべきカタリスト
短期(2025 Q3)
farabursen P3開始予定(Novartis主導)

中期(2026以降)
P3進捗、中間解析

長期(2027以降)
Accelerated Approval申請、本承認申請