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【MPLT】MapLight Therapeutics カタリストとロードマップ

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MapLight Therapeutics とは?

MapLight Therapeutics は、中枢神経系疾患に苦しむ患者の生活改善に取り組む 臨床段階のバイオ医薬品企業です。

精神医学および神経科学研究の世界的リーダーによって設立され、治療選択肢が乏しい患者のために回路特異的な治療薬の開発を目指しています。

MapLight の創薬プラットフォームは、疾患に因果的に関与する神経回路を特定し、治療的にその回路を制御することを可能にする潜在力を有しており、既存治療の空白を埋めることが期待されています。

「ML-007/PAC」について

「ML-007C-MA(ML-007C/PAC とも呼称)」は、開発中の M1/M4 ムスカリン作動薬 ML-007 に、末梢作用性の抗コリン薬(PAC)を配合した 経口・徐放性・定量配合剤です。

「ML-007C-MA」の差別化要素として、中枢神経系(CNS)における M1・M4 受容体を強力に活性化しながら、末梢においては アゴニスト成分とアンタゴニスト成分の薬物動態を最適に同期させ、不要な末梢副作用を抑える設計が挙げられます。

統合失調症について

統合失調症は複雑な精神疾患であり、

・陽性症状:幻覚、妄想、思考の混乱
・陰性症状:社会的引きこもり、感情表出の低下、快感喪失、意欲減退
・認知機能障害

といった幅広い症状を特徴とします。これらは社会的・職業的機能を大きく損ない、重度の障害の主因となります。統合失調症は慢性かつ衰弱性の疾患として広く認識されており、米国で約300万人、世界で約2,000万人が罹患していると推定されています。

障害の主要原因のひとつであり、早期死亡リスクの上昇とも関連します。

ハイライト

2025年10月6日頃:IPO計画に関する報道(想定時価総額レンジの開示)。

2025年9月17日:ML-007C-MAアルツハイマー病精神症状(ADP)を対象とするPhase 2(VISTA)開始を発表。P1(n=270、高齢者42例含む)の安全性プロファイルを踏まえ設計。

2025年7月28日:Series D $372.5M を調達、複数のP2並走を可能にする資金体制を確保。

2025年7月7日:ML-007C-MA統合失調症を対象とするPhase 2開始を発表(無作為化・二重盲検・PBO対照)。

2025年通年:ML-004ASD(社会コミュニケーション障害)を対象としたPhase 2 “IRIS”の登録継続(最大150例、米/豪/加;オープンラベル延長試験あり)。

承認済み製品 / 現状

承認済み製品:なし(開発中)

主力候補:ML-007C-MA(経口 M1/M4 作動薬)— 統合失調症および ADP を対象に Phase 2 進行中。

補足:ML-004(経口 5-HT1B アゴニスト;ASDの社会コミュニケーション障害で Phase 2)、前臨床に ML-016(GPR6拮抗;PD/うつ)、ML-009(多動・衝動性)など。

主要臨床成績
Q4 2025–Q1 2026
ML-007C-MA(統合失調症/ADP)P2 の登録・安全性アップデート

H1–H2 2026
ML-007C-MA いずれかの P2 初回トップライン候補(時期未公表)

H1–H2 2026
ML-004(ASD)P2:登録完了→トップライン時期ガイダンス

2025
Series D $372.5M 調達(実行体制強化)

臨床試験パイプライン
Phase 2
ML-007C-MA(統合失調症)

対象:統合失調症(陽性・陰性・認知症状の幅広い改善を狙う)

作用:M1/M4 ムスカリン作動薬(経口)

進捗:2025年7月に P2 開始(無作為化・二重盲検・PBO対照)
安全性/PD:大規模 P1(n=270、高齢者含む)で忍容性を確認
次読出し:登録・安全性レビューの定期アップデート(Q4 2025–Q1 2026

Phase 2
ML-007C-MA(ADP:アルツハイマー病精神症状)

対象:アルツハイマー病に伴う精神症状(幻覚・妄想など)

作用:M1/M4 ムスカリン作動薬(経口)

進捗:2025年9月に P2「VISTA」開始
設計基盤:P1(n=270)データに基づく高齢者投与経験あり
次読出し:登録進捗・安全性レビュー(Q4 2025–Q1 2026)、初回トップライン候補(H1–H2 2026

Phase 2
ML-004(ASD:社会コミュニケーション障害)

対象:自閉スペクトラム症における社会コミュニケーション障害

作用:5-HT1B アゴニスト(経口)

進捗:P2 “IRIS” 登録継続(最大150例、米/豪/加)+ P2 OLE 併走
評価:主要=社会コミュニケーション指標の改善
次読出し:登録完了後にトップライン時期をガイダンス(H1–H2 2026

企業資金で全額実施、国際多施設での運用

パイプライン早見表
パイプライン 対象 臨床フェーズ 規制デザイン 安全性(AESI) 用法・用量 / 併用戦略 市場規模イメージ ポイント(市場評価)
ML-007C-MA(M1/M4 作動) 統合失調症 Phase 2 無作為化・二重盲検・PBO対照 コリン作動性のAESI(消化器・唾液分泌・徐脈 等)を監視 経口単剤中心。認知/陰性症状指標の改善幅に注目 大:中枢疾患の主要領域 P1で大規模な忍容性データ(n=270)。初回トップライン候補:H1–H2 2026
ML-007C-MA(M1/M4 作動) ADP(アルツハイマー病精神症状) Phase 2 無作為化・二重盲検・PBO対照(VISTA) 高齢者での自律神経系/ACh関連事象を重点監視 経口単剤。既存抗精神病薬との比較安全性が鍵 大:高齢者精神症状領域 安全性優位と行動症状改善で差別化余地。初回トップライン候補:H1–H2 2026
ML-004(5-HT1B 作動) ASD(社会コミュニケーション障害) Phase 2 無作為化・二重盲検・PBO対照(IRIS) セロトニン作動に伴うCNS/消化器事象を監視 経口単剤。行動介入/既存支援との併用実装も将来検討 中〜大:発達神経領域 国際多施設で最大150例。登録完了後にトップライン時期ガイダンス
ML-016(GPR6 拮抗) パーキンソン病 / うつ 前臨床 IND準備に向けた最適化 ドパミン系/運動関連の安全性を非臨床で精査 経口想定。標準治療併用の可能性を探索 中:神経変性/精神 差別化MoAで未充足ニーズを狙う
ML-009(非開示:多動・衝動性) 多動・衝動性症状 前臨床 前 IND 準備 中枢系安全性(心拍/QTc含む)を非臨床で監視 経口想定 臨床移行の適応選定が鍵

ポイント
  • 二本柱での臨床進捗:ML-007C-MA(統合失調症/ADP)と ML-004(ASD)で3本のP2を並走。
  • 大規模P1に基づく設計:ML-007C-MAはP1 n=270(高齢者含む)を基礎に P2 を設計し、実装リスクを低減。
  • 強固な資金基盤:Series D $372.5MIPO計画で 2025–2026 の主要読出しまでの執行余力を確保。

ファンドのポジション

主要ファンドの参加(Series D 参画投資家等)と IPO 計画を踏まえ、P2 読出し前の資金手当てが進んでいる点を評価。

開発ロードマップ
完了:2025年Q3

ML-007C-MA(統合失調症)Phase 2 開始

無作為化・二重盲検・PBO対照で主要症状の改善を評価。

完了:2025年Q3

ML-007C-MA(ADP)Phase 2(VISTA)開始

高齢者含む P1 データを基盤に、精神症状の改善と安全性を検証。

進行中:2025年Q1–Q4

ML-004(ASD)Phase 2 “IRIS” 登録

最大150例規模、米/豪/加で国際多施設実施。OLE も併走。

2025年Q4–2026年Q1

P2 登録・安全性レビューの定期更新

会社IRで適宜アップデート予定(登録曲線・安全性レビュー)。

2026年H1–H2

トップライン候補(ML-007C-MA/ML-004)

登録完了後に読出し時期をガイダンス、順次トップラインへ。

注目すべきカタリスト
短期(〜2025年Q4)
ML-007C-MA P2(統合失調症/ADP)の登録・安全性アップデート、ML-004 IRIS の登録進捗

中期(2026年H1–H2)
ML-007C-MA/ML-004 の初回トップライン候補(時期は登録状況に依存)

長期(2026年〜)
前臨床プログラム(ML-016/ML-009)の IND 準備・適応確定