HOME > 臨床バイオ

【MIST】Milestone Pharmaceuticals カタリストとロードマップ

【記事には広告を含む場合があります】

「CARDAMYST (etripamil)」CRL について

FDA は、2025年3月28日に「CARDAMYST (etripamil)」に対して CRL を発行。内容は臨床ではなく CMC(品質・製造・管理)についてです。

・ニトロサミン不純物に関する追加データの提出要請(同社のNDA提出後に出た最新ガイダンスを反映)。
・製品の放出試験(release testing)を行う試験施設の査察要請(審査中に当該施設の所有者が変更になったため、cGMP順守の確認を求められた)。
・有効性・安全性データについてFDAから懸念は示されず。

MIST の対応

・Type Aミーティング(FDAと早期協議)
6月上旬にFDAと協議し、CRL回答に必要な要求事項で整合。

・CRL回答の提出
2025年6月13日にCRL回答を正式提出(ニトロサミン関連データ等を含む)。

・FDAが回答を受理し審査再開/新PDUFA設定
2025年7月11日、FDAがCRL回答を受理。新PDUFAは2025年12月13日に再設定。

・資金面の整備(ロイヤルティ契約の改定)
RTW との$75Mロイヤルティ契約の期限延長等、承認タイムラインに合わせた資金手当てを実施。

注目点

・残存リスクは “CMCのクリアランス”
施設査察が計画どおり完了するか、ニトロサミン対応データがFDAの基準を満たすか。臨床データは十分と見られているのが救い。

・最終イベント
PDUFA=2025年12月13日(PSVT向けCARDAMYST™)。承認なら在宅自己投与の初の選択肢として初期KPI(処方数・再購入・在宅成功率)が株価ドライバーになります。

承認済み製品 / 現状

承認済み製品:なし(開発中)

主力候補:CARDAMYST™(etripamil 経鼻スプレー)— 在宅自己投与可能な速効性 L型Ca拮抗薬。適応はPSVT(発作性上室性頻拍)

補足:同成分の etripamil 経鼻AFib-RVR(心房細動での心室応答促進)へ拡張予定。PSVTの長期安全性/OLEデータ(NODE-303)で在宅反復使用の実証あり。

主要臨床成績
Q4 2025
PSVT:PDUFA(12/13)— NDA 最終判断見込み

Q3 2025
CRL 回答の受理/審査再開(CMC 論点)

Q4 2025
PSVT:上市準備KPIアップデート(教育キット・流通体制 など)

2026
AFib-RVR:Phase 3(ReVeRA-301)起動タイミングの再ガイダンス → 登録開始想定

臨床試験パイプライン
NDA(審査中)
CARDAMYST™(PSVT:発作性上室性頻拍)

対象:在宅で発作時に自己投与するPSVT患者

作用:速効性 L型Ca拮抗薬(etripamil)経鼻スプレー

根拠試験:P3 RAPID 等で「30分以内の洞調律復帰」を統計学的に達成(Lancet掲載)
進捗:2025/3 CRL(CMC)→ Q3 2025 回答受理・新PDUFA 12/13
次読出し:Q4 2025 FDA 最終判断 → 承認時は米国ローンチ

Phase 3(起動前)
Etripamil — AFib-RVR

対象:心房細動で心室応答が速い患者(在宅自己投与)

作用:etripamil 経鼻(70 mg 前後)による心拍数低下

デザイン:二重盲検・PBO対照のイベント駆動試験 ReVeRA-301(プロトコル確定済)
進捗:PSVTの上市準備を優先し登録開始は一時ポーズ
次読出し:2026 起動タイミングの再ガイダンス → 登録開始

Phase 3 OLE(完了)
NODE-303(PSVT 長期安全性)

対象:PSVT 患者の在宅反復使用

作用:etripamil 経鼻の長期安全性・運用性を評価

進捗:オープンラベルで完了。RWE/医療資源利用(HCRU)解析を報告
次読出し:承認後は使用実績に基づく追加RWE/経済評価を継続

在宅自己投与モデルの普及データとして活用

パイプライン早見表
パイプライン 対象 臨床フェーズ 規制デザイン 安全性(AESI) 用法・用量 / 併用戦略 市場規模イメージ ポイント(市場評価)
CARDAMYST™(etripamil 経鼻) PSVT(発作性上室性頻拍) NDA 審査中 RDBPC の P3(RAPID 等)→ NDA、PDUFA Q4 2025 鼻粘膜刺激などの局所反応、血圧低下、徐脈をモニター 発作時に自己投与。救急受診抑制など経済価値の実証を計画 中:既存は医療機関処置が主流、在宅自己投与で新規市場を創出 CRL は CMC 中心。最終判断が株価ドライバー/上市後のKPIが評価焦点
Etripamil 経鼻 — AFib-RVR 心房細動の高頻脈(在宅) Phase 3 起動前 二重盲検・PBO対照・イベント駆動(ReVeRA-301) 血圧/心拍の急性変動、安全な在宅運用を重点監視 自己投与で心拍数を速やかに低下、救急受診回避を狙う 大:患者母数が多く中期の成長柱 PSVTローンチと資金計画に連動して2026 起動見込み
NODE-303(PSVT OLE) PSVT 在宅反復使用 Phase 3 OLE 完了 オープンラベル安全性/RWE 解析 長期の局所反応・血圧/心拍イベントの監視 承認後は実臨床での教育・再購入モデルに接続 中:普及の裏付けデータ 上市後の RWE/経済評価が採用拡大の鍵

ポイント
  • 規制リスクの焦点は CMC:CRL は製造・査察関連。臨床効果/安全性への否定は示されず。最終判断(Q4 2025)までの進捗確認が重要。
  • 在宅自己投与モデル:教育キット、再投与運用、救急受診抑制の実データ(HCRU)が普及のカギ。
  • 二段ロケット戦略:PSVTの商用確立 → AFib-RVRのPhase 3起動で市場拡大。

ファンドのポジション

RTWのロイヤルティ・ファイナンスは承認条件付きでコミットの開示例あり。売上連動の資金調達により、エクイティ希薄化を抑えつつ上市後の成長投資を可能にする設計。

開発ロードマップ
完了:Q3 2025

CRL 回答 受理/審査再開

CMC 論点への回答が受理。新たな PDUFA を 12/13 に設定。

Q4 2025

PSVT:PDUFA(12/13)

承認時は即時ローンチへ。初期KPI(処方数・在宅成功率・再購入)を四半期開示予定。

2026

AFib-RVR:Phase 3 起動

ReVeRA-301 の登録開始 → 組入れ進捗と安全性点検を順次公表。

2026〜

PSVT:市販後 RWE / 経済評価

救急受診抑制や医療資源利用の改善を実データで検証、採用拡大に接続。

注目すべきカタリスト
短期(〜Q4 2025)
PSVT:FDA 最終判断(PDUFA 12/13)/上市準備KPIアップデート

中期(2026)
AFib-RVR:Phase 3 登録開始と進捗、PSVT:市販後 RWE・経済評価の公開

長期(2027以降)
AFib-RVR:P3 完了 → 申請可否、PSVT:ラベル最適化・国際展開の検討