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【LYRA】Lyra Therapeutics カタリストとロードマップ

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ハイライト

2025年10月6日:Lyra Therapeutics(NASDAQ: LYRA)LYR-210 のP3試験(ENLIGHTEN-2)で主要評価項目達成と、同試験のLate-Breaking口演採択を発表。追加試験を前提にFDAとの協議を継続。
2025年9月:FDAとの会合で、“鼻茸なし”CRS集団での追加臨床試験を実施した上でNDA提出を検討する方針を確認。
2025年7〜8月:LYR-220(術後CRS向け・大型デバイス)のP2 BEACON試験の詳細解析を公開、安全性・症状改善シグナルを再確認。
2025年5月以降:慢性副鼻腔炎の長期・局所放出型治療として、耳鼻科外来で導入できることを前面に出したKOL向け活動を継続。

承認済み製品 / 現状

承認済み製品:なし(全プロダクト開発中)

主力候補:LYR-210(鼻茸なし慢性副鼻腔炎向け 6か月持続放出・鼻腔インプラント)。

補足:LYR-220(術後で鼻腔容積の大きいCRS患者向けの大型版インプラント)が続く。

主要臨床成績
2025 Q3
ENLIGHTEN-2(LYR-210)で主要評価項目達成を発表

2025 Q4
ENLIGHTEN-2 のLate-Breaking口演(AAO-HNS)で詳細公表予定

2026 Q1〜Q2
LYR-210 追加P3(鼻茸なしCRS)開始想定(FDA要請に基づく)

2026 Q3〜
LYR-220 後期試験デザインの開示/開始目安

臨床試験パイプライン
Phase 3(1本達成)→ 追加P3準備
LYR-210(慢性副鼻腔炎・鼻茸なし)

対象:手術適応までは行かないが症状が持続するCRS(特に鼻茸なし)。

作用:モメタゾンを最大6か月間、鼻腔内に留置したバイオ吸収性インプラントから持続放出。

ENLIGHTEN-2:Week 24の症状複合指標で有意差。SNOT-22も概ね改善。
ENLIGHTEN-1:2024年に主要項目は未達だが、52週延長で安全性の一貫性を示した。
規制対応:FDAが“鼻茸なし集団での追加試験”を要請。これを経て505(b)(2) NDAを計画。

Phase 2(BEACON 完了)→ 後期試験計画
LYR-220(術後・鼻腔容積大のCRS)

対象:副鼻腔手術後で鼻腔スペースが大きく、標準的なLYR-210サイズでは薬剤分布が不十分なCRS。

作用:LYR-210を大型化し、同じモメタゾンを6か月放出する設計。

BEACON P2:安全性主要項目を達成し、症状スコア・客観指標とも改善シグナル。
次段階:術後CRSというニッチに合わせたP3/登録試験のデザインをFDAと詰める段階。

前臨床〜探索
次世代局所放出プラットフォーム

対象:上気道・耳鼻科領域での慢性炎症疾患。

作用:既存の鼻腔インプラントを他薬剤へ展開するプラットフォーム。

進捗:CRSでの有効性が追加P3で再現できれば、他適応へのPoC拡張が現実的になる。

パイプライン早見表
パイプライン 対象 臨床フェーズ 規制デザイン 安全性(AESI) 用法・用量 / 併用戦略 市場規模イメージ ポイント(市場評価)
LYR-210(モメタゾン鼻腔インプラント) 鼻茸なし慢性副鼻腔炎(手術前段階の長期症状持続例) Phase 3(1本達成)→ 追加P3準備 505(b)(2) 申請方針。追加P3の成否でNDA提出可否が決まる 局所ステロイド由来の粘膜刺激・鼻出血・感染をモニター 外来留置で6か月持続。反復留置で年間コントロールを想定 中〜大:内科的治療と手術の“間”の大きな未充足領域 ENLIGHTEN-2の良好な結果済み。追加P3の設計が株価ドライバー
LYR-220(大型インプラント) 術後で鼻腔容積の大きいCRS(鼻茸の有無を問わず) Phase 2(BEACON 完了) 適応を絞った登録試験(P3)に進む前のFDA協議中 LYR-210同様の局所有害事象、サイズ増による違和感を確認 外来留置で6か月、術後フォローの一環として組み込みやすい 中:術後CRSは数はやや限られるが、再発・再手術コストが高く受け入れやすい BEACONでシグナルあり。P3デザイン次第でパートナーシップの余地
次世代局所放出プラットフォーム 上気道・耳鼻科領域の慢性炎症疾患 前臨床 LYR-210/220の承認実績を使った後続505(b)(2) 拡張が想定される 薬剤ごとの局所曝露に応じて粘膜・感染を監視 鼻腔インプラントをベースにした外来反復投与 中:適応ごとに積み上げる形で拡大 メインはLYR-210の成功待ち。プラットフォーム価値で評価

ポイント
  • 開発の分岐点:ENLIGHTEN-2は成功したが、ENLIGHTEN-1の未達を受けてFDAが追加P3を求めており、これをどう設計・資金手当てするかが最大のテーマ。
  • ポジショニングの妙:6か月持続放出×外来留置という形態は、内服や点鼻でコントロールできないCRSにとって明確な差別化になる。
  • 資本面の注意:ナスダックの資本規則に関する通知を受けており、追加試験の着手前に株式・ワラント等での希薄化を伴う調達の可能性がある。

ファンドのポジション

大口は追加P3の設計と資金コミットが見えるかどうかを重視するフェーズ。ENLIGHTEN-2の結果は好意的に受け止められているが、NDAに直行できないことで時間価値のディスカウントが入っている。

開発ロードマップ
完了:2025 Q3

ENLIGHTEN-2(LYR-210)結果公表

鼻茸なしCRSで主要評価項目達成。52週データも安全性一貫。

2025 Q4

Late-Breaking口演(AAO-HNS)

症状スコアやSNOT-22などの詳細データを提示し、追加試験の背景を説明。

2026 Q1〜Q2

LYR-210 追加P3 開始

FDAが要請した“鼻茸なし集団”での再現試験を着手。登録サイトの立ち上げを進める。

2026 Q3〜Q4

LYR-220 後期試験の設計公表

BEACONで得た有効性シグナルをもとに、術後CRSでのP3/登録試験へ移行。

2027 Q2以降

LYR-210 追加P3 中間解析〜読出し

主要評価項目の達成状況次第で505(b)(2) NDA提出タイミングを確定。

注目すべきカタリスト
短期(〜2025 Q4)
ENLIGHTEN-2 の詳細データ公開、FDAとの追加試験スコープの開示、資本政策のアップデート

中期(2026 Q1〜Q4)
LYR-210 追加P3の登録進捗、LYR-220 の後期試験計画公表、保険償還に向けた経済性データの提示

長期(2027〜)
追加P3読出し→505(b)(2) NDA提出、上気道疾患へのプラットフォーム展開