
Larimar Therapeutics (ラリマー・セラピューティクス / LRMR) は、複雑な希少疾患の治療法開発に特化した臨床段階のバイオテクノロジー企業です。
Larimar の主要化合物である「nomlabofusp (ノムラボフスプ)」は、フリードリヒ失調症の潜在的な治療法として開発されています。
Larimar はまた、細胞内バイオアクティブ化合物の欠乏を特徴とする他の希少疾患を標的とするため、独自の細胞内デリバリープラットフォームを活用して他の融合タンパク質を設計する計画です。
9月の OLE 50mg & 小児PK 中間データのその後
LRMR は2025年半ばにグローバル Ph3 を開始する計画をすでに示しており(当局プロトコール協議を前提)、同時並行で OLE(50mg)と小児PK run-inの結果を “用量選択・小児安全DBの補強・BLA戦略” に活用する位置づけです。
OLE 50mg の長期データと小児PKは2025年9月にまとまった更新が予定され、最終的なRP3D(50mg想定)や小児組み入れ条件の裏づけに使われます。ネガティブな所見が出ればプロトコール改訂やタイムライン調整のリスクになります。
9月の「OLE 50mg+小児PKを報告予定、そのうえでグローバル Ph3 を開始し、BLA は2026年Q2に提出する計画」と明確化。皮膚フラタキシン(skin FXN)濃度を “合理的に予見可能な代替エンドポイント” として検討する旨もFDAとのやりとりで示されています(AAルートの土台)。
そのため、良好データならそのまま加速、想定外なら設計補正という立ち位置です。
「nomlabofusp」の BLA はどうなる?
BLA 受理(ファイリング)の可能性はあります。ただし “可否(承認)” は別問題で、初期6週間のアナフィラキシー(65例中7件)をどうリスク低減・管理するかが最大の審査論点になります。
根拠(いま出ている公式シグナル)
・FDAはRLSE(皮膚フラタキシン)採用に前向きで、加えて必要な安全性データベースの要件やBLA提出要旨について指針を出しています。「皮膚FXNをRLSEに使うことに前向き」「最終の受容可否はBLA審査で判断」と明記。=提出自体を拒む姿勢ではない。
・Q3’25アップデートでは、6か月で皮膚FXN到達率100%(n=10)、1年でmFARSの方向性改善を示し、会社はQ2 2026にAA目的のBLA提出、米国上市は2027年初を目標と再確認。=“出せるパッケージ”を組み上げつつある。
・初期アナフィラキシー対策として、FDAと合意した開始用量漸増レジメン(例:テスト用量→25mg→観察→50mg)へ変更。=リスク緩和策をBLAに同梱できる状態。
どう見ればよいか?
・受理(filed)のハードル
①合意済みの安全性DB規模を満たす、②開始用量漸増などのリスク最小化策、③CMC/免疫原性評価、④RLSE妥当性の論証(皮膚FXNと心筋/DRG/骨格筋との関連データを含む)。— これらは会社が整備中で、FDAも “検討の土俵に乗る” と示唆。
→ よって受理の蓋然性は高いとみるのが妥当。
・承認(approved)のハードル
– アナフィラキシーの発現率と重篤性、再現性のある低減効果(新レジメン導入後の実データ)、REMS/警告(Boxed Warning含む)の要否が焦点。
– RLSE(皮膚FXN)→臨床機能(mFARS等)の因果に足る一貫性。FDAはRLSE採用に前向きだが “最終判断は審査で” と釘を刺しており、事後の検証試験/市販後要件が付く可能性は高い。
投資家的な要点
・BLA受理(Q2’26想定)=イベントドリブン
株価トリガーになり得るが、アナフィラキシーの取り扱い次第で審査中のヘッドライン(REMS要求・審査延長等)のボラティリティは大きめ。
・承認可否リスクの質
EoA(RLSE)+実臨床アウトカムの方向性データ(mFARSなど)+リスク緩和策の三点セットが “どの程度” 揃っているかで変動。受理はあり得るが、承認はまだ分水嶺、というのが現在地。
要するに、“受理は現実的、承認は安全性管理(アナフィラキシー)とRLSEの説得力次第” です。
承認済み製品:なし(開発中)
主力候補:Nomlabofusp(CTI-1601)— フリードライヒ運動失調症(FA)向けミトコンドリア蛋白置換療法。
FDA START パイロット参加により、皮膚フラタキシン(FXN)を RLSE(代替エンドポイント)として検討する前向き協議が継続。
安全性:全試験で曝露65例中、初回6週間内のアナフィラキシー 7件(全例標準治療で回復)。
FDA合意の開始用量漸増レジメン(例:テスト用量→25mg→日次50mg)を導入、Phase 3 プロトコルにも組み込み。
対象:フリードライヒ運動失調症(FA)
地域:米国・欧州・英国・カナダ・豪州(サイトクオリフィケーション進行)
解析:長期安全性・有効性(FXN/臨床スコア)
START:RLSE(皮膚FXN)を活用する承認戦略をFDAと協議中
50mg OLEで生物学的妥当性(皮膚FXN)と機能的指標の方向性改善が確認され、Q2 2026のAA申請が公式に目標化。初期アナフィラキシーは開始用量漸増でリスク低減策を講じ、P3設計にも反映。資金はQ4 2026までの目安を確保。
| パイプライン | 対象 | 臨床フェーズ | 規制デザイン | 安全性(AESI) | 用法・用量 / 併用戦略 | 市場規模イメージ | ポイント(市場評価) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| nomlabofusp(CTI-1601) フラタキシン蛋白補充 |
フリードライヒ失調症(FA) | OLE 継続/Phase 3 準備中 | START パイロット下で RLSE(皮膚FXN)活用を協議。 BLAはQ2 2026のAA申請目標。 |
初期6週間のアナフィラキシー(65例中7件)。開始用量漸増でリスク低減。 | SC 反復投与。テスト用量→25mg→日次50mgへ移行(P3でも採用)。 | 希少:神経変性の高未充足領域 | 6か月で皮膚FXN到達率100%、1年でmFARS中央値 +2.25 改善の方向性。 |
| 思春期 PK ランイン | FA(小児・思春期) | PK ランイン(継続) | 小児曝露データを P3/申請パッケージにブリッジ | 若年層での免疫反応・注射部位反応を監視 | 年齢・体重別最適化。将来的な 50mg 同等曝露を想定 | 希少:小児適応の基盤 | 成人50mgの所見と整合する曝露プロファイルを目指す。 |
$69M 公募増資 完了
資金強化により 2026年Q4 までの開発運営を確保。
OLE 50mg & 小児PK 初期更新
50mg OLE の 6か月所見/小児PK の初期データを更新。
Phase 3 準備(開始用量漸増レジメン実装)
米国・欧州・英国・カナダ・豪州でサイトクオリフィケーション、CRO/治験薬供給整備。
規制協議アップデート
START 枠組み下での RLSE(皮膚FXN)活用方針・P3最終仕様をFDAと擦り合わせ。
BLA 提出(Accelerated Approval 想定)
皮膚FXNをコアとする申請パッケージを提出(安全性DB・OLE長期データを添付)。
承認可否 → 上市目標
FDA 審査結果に応じて承認・商業化(薬価/アクセス戦略、患者支援プログラム整備)。
OLE 50mg/小児PK 継続更新、Phase 3 立ち上げ準備の進捗(サイト・CRO・用量漸増手順)。
FDA との規制協議アップデート(RLSE活用・最終試験仕様)。
BLA 提出(AA 方針)— 申請受理/レビュー開始の開示。
承認可否の判明 → 上市準備(製造・供給・患者アクセス)。
