
2025年11月:PAS-004 進行固形がん Phase 1 中間データを発表。PR(部分奏効)+高い DCR、DLT なし・眼毒性/心毒性なしといった良好な安全性プロファイルを確認。
2025年11月:PAS-004 タブレット製剤について、成人 NF1-PN を対象とした Phase 1/1b で線形 PK・安定した曝露(Cmax/Cmin < 2)などポジティブな PK データを公表。 2025年10月:ALS Association より Hoffman ALS Clinical Trial Award(約100万ドル) を獲得。PAS-004 を ALS へリポジショニングする Phase 1 試験を実施予定。
2025年12月:約6,000万ドルの公募増資をクローズ。PAS-004 の複数適応(進行固形がん / NF1-PN / ALS)と、PAS-003・PAS-001 など ALS/CNS パイプラインの推進に向けて、開発資金を厚く確保。
承認済み製品:なし(開発中)
主力候補:PAS-004(経口マクロサイクリック MEK1/2阻害薬)— MAPK 経路変異を持つ進行固形がん、NF1 関連 plexiform neurofibroma(NF1-PN)、ALS などをターゲットとする中核プログラム。
補足:PAS-003(α5β1 インテグリン標的 mAb・ALS/神経炎症)、PAS-001(C4A 阻害スモール分子・統合失調症)、PAS-002(MS 向けプログラム、2023年に開発中止)といった ALS/CNS への“種まき”パイプラインが続く。
対象:RAS / NF1 / RAF 変異など MAPK 経路変異を持つ進行固形がん、および既存の BRAF/MEK 併用療法に不応・増悪した患者
作用:MEK1/2 をアロステリック阻害し、MAPK シグナルを抑制する経口マクロサイクリック阻害薬
対象:症候性かつ手術不能/不完全切除/再発の NF1 関連 plexiform neurofibroma を有する成人 NF1 患者
作用:MEK1/2 阻害による NF1-PN の増殖抑制を狙う経口タブレット製剤(4 mg / 8 mg)
対象:ALS 患者(約 12 例)
作用:MEK 経路制御を通じて運動ニューロン障害や神経炎症に介入するリポジショニング戦略
対象:ALS ほか神経炎症関連疾患(MS、脳卒中等への拡張ポテンシャル)
作用:α5β1 インテグリンを標的としたヒト化モノクローナル抗体。ALS に関わる神経炎症経路のモジュレーションを狙う。
対象:統合失調症(補体 C4 構造変異と関連するサブセットを想定)
作用:脳移行性を持つスモール分子で Complement 4A(C4A)を抑制し、過剰なシナプス刈り込みを抑えるコンセプト。
| パイプライン | 対象 | 臨床フェーズ | 規制デザイン | 安全性(AESI) | 用法・用量 / 併用戦略 | 市場規模イメージ | ポイント(市場評価) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| PAS-004(進行固形がん / MAPK変異) | RAS / NF1 / RAF 等 MAPK 経路変異を持つ進行固形がん、BRAF/MEK 既治療不応例 | Phase 1 | 現時点で特段の規制指定なし(適応探索型 P1) | DLT なし、主に Grade 1–2 の AE。クラス留意:皮膚毒性/心機能/眼毒性を重点監視するが、初期データでは眼/心毒性シグナルなし。 | 経口単剤 QD。将来は BRAF 阻害薬/免疫チェックポイント阻害薬/化学療法との併用探索余地。 | 中〜大:BRAF/RAS 変異固形がん全般でポテンシャル。 | “フラットな曝露+良好な安全性”の MEK 阻害薬として差別化余地。PR+高 DCR の初期シグナルが今後の拡大コホート評価の鍵。 |
| PAS-004(NF1-PN・成人) | 成人 NF1 患者の症候性 plexiform neurofibroma(手術不能/再発 等) | Phase 1/1b | NF1-PN で FDA オーファンドラッグ指定済み。 | 長期投与を想定し、皮膚・心・眼・血液パラメータを継続監視。タブレット製剤で安定した曝露と忍容性を確認。 | 経口タブレット QD。成人 NF1-PN で単剤 PoC を確立後、小児・思春期 NF1-PN への拡張を検討。 | 中:希少疾患だが長期治療+高薬価ポテンシャル。 | 現行 MEK 阻害薬(selumetinib 等)の忍容性課題に対し、より“使いやすい”プロファイルを提示できればバリュエーション再評価余地。 |
| PAS-004(ALS) | ALS 患者(初期は 12 例の小規模 PoC 試験) | Phase 1(準備) | ALS Association の Hoffman ALS Clinical Trial Award による資金支援。規制上の特別指定は現時点で開示なし。 | ALS 患者における新規 MEK 阻害のため、筋力・呼吸機能・中枢/末梢神経イベントを慎重に監視。 | 経口単剤。安全性・バイオマーカー PoC を得た後、標準治療や既存 ALS 薬との併用を検討し得る。 | 中:ALS 市場は希少だが高未充足で価格ポテンシャル大。 | MEK 経路を介した ALS 介入という新規性が評価されれば、PoC 取得時点でパートナリング/M&A のオプションが生じうる。 |
| PAS-003(α5β1 mAb) | ALS ほか神経炎症性 CNS 疾患 | 前臨床(IND-enabling) | 現時点で規制指定なし。ALS など希少領域で将来の Orphan 指定余地。 | mAb クラスリスク(過敏反応、感染症、注入関連反応 等)を GLP 毒性で精査中。 | 静注想定。ALS では PAS-004(経口)と補完的ポジションを構築しうる。 | 中:ALS+周辺 CNS 炎症領域で拡張の余地。 | PAS-004 に続く ALS/CNS の第 2 の柱。IND 提出と初期ヒトデータがバリューアップのトリガー。 |
| PAS-001(C4A 阻害) | 統合失調症(補体 C4 変異に関連するサブセット) | 創薬(ディスカバリー) | 現時点で IND 前。将来、精神疾患領域で画期性指定等のポテンシャル。 | CNS 移行性スモール分子として、中枢系 AESI(鎮静、けいれん、認知機能への影響 等)を非臨床で評価予定。 | 経口想定。単剤でのシナプス保護効果を確認後、既存抗精神病薬との併用最適化を検討。 | 大:統合失調症全体は非常に大きいが、遺伝学的サブセットでの精密医療が焦点。 | ヒト遺伝学ドリブンの first-in-class CNS プログラムとして、早期 PoC 獲得時の市場評価インパクトが大きい“オプション”。 |
- 1剤多適応 × ALS/CNS への種まき:PAS-004 を“進行固形がん+NF1-PN+ALS”で展開しつつ、PAS-003・PAS-001 で ALS/CNS ポートフォリオを構築する戦略。
- MEK 阻害薬としての差別化:従来 MEK 阻害薬の課題だったピーク/トラフの振れを抑えた“フラットな曝露”プロファイルと、初期データでの眼毒性/心毒性シグナルなしが強み。
- 希少疾患&オーファン戦略:NF1-PN でオーファンドラッグ指定済み。長期連続投与が前提の疾患特性から、優れた忍容性プロファイルを示せれば高い経済性が見込める。
- 財務余力:2025年12月の約 6,000万ドル公募により、PAS-004 の Phase 1/1b〜初期 Phase 2 と、PAS-003 の IND-enabling を進めるには十分な資金クッションを確保。
- パートナリング余地:現時点で大手との本格的提携は限定的で、NF1-PN/ALS/オンコのいずれかで明確な PoC を示したタイミングで、提携・M&A のオプションが立ち上がる構図。
KTTA は時価総額・流動性の観点から、現時点では小型〜マイクロキャップ特化ファンドやスペシャリスト個人投資家の比重が高い構造と考えられます。一方で、PAS-004 が NF1-PN や ALS で明確な PoC を示した段階では、希少疾患/CNS に強いロングオンリーや大型ファンドがエントリーしやすいプロファイルであり、そのタイミングが中長期のバリュー再評価ポイントになり得ます。
PAS-004 進行固形がん Phase 1 中間データ
PR+高 DCR を含む有望な臨床活性と良好な安全性(DLT なし、眼/心毒性シグナルなし)を報告。今後の RP2D 設定と拡大コホート設計の基盤に。
PAS-004 NF1-PN(タブレット)Phase 1/1b PK データ
4 mg / 8 mg タブレットで線形 PK と安定した曝露を確認。長期連続投与に適したプロファイルを示し、成人 NF1-PN における PoC 取得へ向けたベースを確立。
PAS-004 進行固形がん Phase 1 用量漸増完了 → RP2D 決定
Cohort 8(45 mg)までの安全性・PK・PD データを踏まえ、RP2D を決定。BRAF 変異腫瘍など疾患別の拡大コホート or Phase 1b への移行方針をアップデート。
NF1-PN Phase 1/1b 初期有効性データ
成人 NF1-PN での MRI ベースの腫瘍体積変化や疼痛/QOL 改善など、初期有効性シグナルを報告。成人コホート拡大および小児・思春期 NF1-PN 試験計画にフィードバック。
ALS / PAS-003 / PAS-001 の中長期展開
PAS-004 ALS Phase 1 の安全性・バイオマーカー PoC を踏まえ、後期試験や併用戦略を検討。並行して PAS-003 の IND 提出〜初回ヒト試験、PAS-001 の前臨床進展により、ALS/CNS ポートフォリオを段階的に強化。
・PAS-004 進行固形がん Phase 1 用量漸増パート完了と RP2D 決定
・疾患別拡大コホート or Phase 1b 設計の開示
・NF1-PN Phase 1/1b の登録状況アップデート
・NF1-PN Phase 1/1b からの初期有効性シグナル(腫瘍体積・疼痛・QOL など)
・PAS-004 ALS Phase 1 試験の開始(FPI)と安全性/バイオマーカー速報
・PAS-003 の IND-enabling 進捗(GLP 毒性完了・IND 申請のタイミング)
・NF1-PN 成人での拡大コホート/Phase 2 相当試験、小児・思春期 NF1-PN 試験の立ち上げ
・ALS 領域での PoC 確立に伴うパートナリング/M&A の可能性
・PAS-003 / PAS-001 など ALS/CNS パイプラインの臨床入りと、マルチ CNS プラットフォームとしての再評価
