
「EKTERLY®(sebetralstat,12歳以上)」とは?
主力の「EKTERLY®(sebetralstat,12歳以上)」は直近(2025年Q3)に各地域で相次いで承認されています。
・米国:2025年7月7日にFDAが承認(同日発売開始)
・英国:2025年7月15日にMHRAが承認(12歳以上の発作時治療)
・EU/スイス:2025年9月中旬にEC/Swissmedicが承認。ドイツでQ4 2025に初回上市予定
発作時(オンデマンド)に使える薬としては史上初の経口薬で、従来の注射・点滴のオンデマンド薬(icatibant、C1-INH、ecallantide等)から処方シェアを奪える余地があるかもしれません。上市後の売り行きも好スタートを切っています。
・患者スタートフォーム
460件(米国発売開始の7/7〜8/29/2025の約7週間)需要シグナルとしては強めです。
・地域承認が短期間に連続(米7/7→英7/15→EU/スイス9月)で、Q4 2025にドイツで初回上市予定とガイダンス。流通面の追い風も整備中です。
スタートフォームは “見込み患者の登録” であって即売上=処方消化とは限りませんが、初期数週間で460件はレア疾患領域としては良好です。
今後は、①実処方化率、②継続率、③投与までの時間短縮、④保険償還の広がり、⑤欧州(独→他国)での初速、といったKPIの四半期開示を追うと、立ち上がりの “質” が見えてきます。
承認済み製品:あり(商用販売中)
EKTERLY®(sebetralstat / 旧KVD900) — 血漿カリクレイン阻害の経口オンデマンド治療。遺伝性血管性浮腫(HAE)発作時に使用。米国(Q3 2025:7/7)、英国(Q3 2025:7/15)、EU/スイス(Q3 2025:9月)で承認取得。米国は承認当日に発売開始、欧州はQ4 2025にドイツで初回上市予定。
対象年齢:12歳以上(小児2–11歳は別試験で拡張中)。
発売KPI(例):患者スタートフォーム、継続投与率、在宅備蓄率、発作発現から投与までの時間などを四半期で更新。
対象:HAE発作時(オンデマンド)
作用:血漿カリクレイン阻害(経口)
対象:HAE小児
作用:血漿カリクレイン阻害(小児用ODT含む)
対象:HAE思春期・成人の長期安全性
作用:血漿カリクレイン阻害(経口)
対象:HAE発作予防(他領域探索含む)
作用:FXIIa阻害(経口)
対象:HAE発作時(オンデマンド)
体制:オーファンドラッグ指定(ODD)、Q1 2025にNDA提出済み
| パイプライン | 対象 | 臨床フェーズ | 規制デザイン | 安全性(AESI) | 用法・用量 / 併用戦略 | 市場規模イメージ | ポイント(市場評価) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| EKTERLY®(sebetralstat) | HAE発作時(12歳以上) | Commercial(市販後) | 承認取得:米・英・EU/CH(Q3 2025)。EUはQ4 2025独上市→段階展開 | 消化器症状、頭痛等。長期反復使用での忍容性はOLEで追跡 | 発作時の単回経口投与。予防療法との併用下でも使用可能 | 中:希少疾患だが未充足大、在宅需要強 | 初の経口オンデマンド承認でシェア奪取余地。上市KPIが評価ドライバー |
| sebetralstat — KONFIDENT-KID | HAE小児(2–11歳) | Phase 3(単群OL) | 約36例・最大1年追跡。小児ODTでのPK/安全性/有効性 | 小児特有の味/嚥下・有害事象を重点監視 | 発作時ODT投与(在宅)。保護者指導プロトコルを整備 | 中:小児拡張で対象人口が拡大 | 2026の中間報告がレバレッジ。承認戦略の鍵 |
| sebetralstat — KONFIDENT-S | HAE思春期・成人(長期安全性) | OLE | 市販後RWEと連動し長期安全性・使用パターンを評価 | 反復使用に伴う安全性シグナルを継続監視 | 予防薬併用患者での運用最適化(携行/備蓄) | 中:治療継続性とQoL改善の裏付け | 学会での解析更新が普及促進に寄与 |
| Oral Factor XIIa inhibitor | HAE発作予防 他 | Preclinical | 適応選定→初期INDルート構築中 | 凝固・出血/炎症関連の安全性を前臨床で精査 | 経口予防を想定。既存予防療法との比較/併用設計を検討 | 中:予防市場は継続投与で厚い | オンデマンドとのポートフォリオ補完で中長期成長軸 |
| 日本(Kaken提携) | HAE発作時(オンデマンド) | Regulatory(NDA審査中) | ODD付与、Q1 2025にNDA提出 | 国内の製造・流通・薬機要件に準拠 | 承認後はKaken主導で上市・普及 | 中:日本での初の経口オンデマンド | 審査可否と薬価レンジが浸透速度を左右 |
- 初の経口オンデマンド承認で在宅即応の体験価値を訴求。予防併用下でも使いやすいポジショニング。
- 地域展開:米での立ち上げ指標、EUは独を皮切りに段階展開。価格・償還と在宅備蓄が鍵。
- 拡張戦略:小児(KID)で対象拡大、長期(S)で継続性を補強、FXIIa経口で予防領域に参入準備。
| 会社 | 主要資産(HAE) | 用途 / 剤形 | 承認・開発段階(主要地域・年齢) | 推奨用法・投与頻度(代表) | 2025–26の主カタリスト | 競合関係の要点 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| KalVista (KALV) | EKTERLY®(sebetralstat) | オンデマンド / 経口 |
承認済:米(2025/7/7)、英(2025/7/15)、EU/スイス(2025/9);12歳以上対象。 独でQ4 2025上市予定。 |
発作出現時に内服(ラベル記載に準拠)。 first/only oral on-demand。 |
欧州ローンチ初速・償還拡大、米ローンチKPI更新(患者スタート→継続)。 小児KONFIDENT-KIDの初回まとまった報告(2026H1以降)。 |
オンデマンド経口の先行。PHVSのオンデマンド経口と正面競合の公算。 |
| BioCryst (BCRX) | ORLADEYO®(berotralstat) | 予防 / 経口 |
承認済:米(2020/12)ほか;12歳以上。 小児2–11歳の粒状剤はNDA受理(2025/5)。 ※急性発作の治療には用いない。 |
150 mg 1日1回(米FPI)。急性発作時の使用は不可。 | 小児粒状剤の審査進捗、RWEの長期更新。 | 予防×経口でIONS(皮下)と競合。KALVとは用途(オンデマンド)違いで補完も。 |
| Pharvaris (PHVS) | deucrictibant(IR=オンデマンド / ER=予防) | オンデマンド & 予防 / 経口 |
オンデマンド:P3 RAPIDe-3=2025年Q4トップライン予定。 予防:P3 CHAPTER-3=2026年下期トップライン予定(12歳以上)。 |
IR:発作時単回カプセル。 ER:40 mg 1日1回想定(治験設計)。 |
RAPIDe-3結果 → (良好なら)2026H1にNDA提出見込み。 CHAPTER-3継続。 |
承認されればオンデマンド経口でKALVに対抗、予防経口でBCRXとも競合。 |
| Ionis (IONS) | DAWNZERA™(donidalorsen) | 予防 / 皮下自己注 |
承認済(米):2025/8/21、12歳以上。 4週または8週毎の皮下自己注。 |
80 mg Q4WまたはQ8W皮下投与(自己注可)。 | 米ローンチKPI・他地域展開。RWEで既存予防薬(Takhzyro/Haegarda/ORLADEYO)との差別化指標更新。 | 予防領域でBCRXと競合。KALV(オンデマンド)とは補完関係。 |
| CSL Behring (CSL) | Andembry™(garadacimab) | 予防 / 皮下自己注 |
承認済(米):2025/6/16、12歳以上。 月1回投与(ラベル準拠)。 |
月1回 皮下投与(自己注可)。 | 米ローンチKPI・他地域での承認/償還拡大。RWEでアドヒアランス優位の検証。 | 予防領域でBCRX(経口)・IONS(Q4W/Q8W注射)と競合。KALV(オンデマンド)とは補完関係。 |
「初の経口オンデマンド」は KALV「EKTERLY」の特徴で、注射系オンデマンド(icatibant/C1-INH等)からの置換・上乗せが狙いどころ。PHVS がオンデマンドで承認域に入ると、KALV vs PHVS の経口レスキュー直接対決に。予防では PHVS vs BCRX/IONS の三つ巴になります。
主要ファンドの公開資料では、欧州ローンチKPI(独の初速、償還獲得ペース)と米国の継続投与率、小児拡張の進捗が評価の焦点。
EKTERLY® 米・英・EU/CH 承認(米は即日発売)
承認取得と市販開始を完了。商用KPIの定例開示を開始。
欧州ローンチ開始(ドイツ)
価格/償還の確定と流通体制構築。患者/施設教育資材のローカライズを展開。
EU 複数国で上市/償還取得
価格参照制度を踏まえた段階展開。KPI(患者スタート、在庫日数)を四半期開示。
KONFIDENT-KID 初回まとまった結果
2–11歳での安全性/PK/探索的有効性の読み出し。小児申請戦略を更新。
日本 審査可否(Kaken提携)
承認の場合、日本初の経口オンデマンドとして上市準備へ。
独上市の初速、米の患者スタート/継続率更新、在宅備蓄率・投与までの時間短縮の実リアルワールド提示
EU追加国の償還取得・上市、KONFIDENT-S 長期安全性の学会更新
KONFIDENT-KID 初回結果、日本の承認可否、FXIIa経口プログラムの初期臨床移行
