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【JANX】Janux Therapeutics 今後のカタリストとロードマップ

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【JANX】Janux Therapeutics 今後のカタリストとロードマップ

「JANX007」は何がスゴいのか!?

JANX007 は「腫瘍内で “外れる二重マスク” を仕込んだPSMA×CD3のT細胞架橋薬(TRACTr)」で、高いPSA低下と良好な安全性(CRSは主にGrade 1–2、初回サイクル中心)を早期試験で示してきた点が強みです。

2025年にはフェーズ1b拡大に進み、前Pluvicto®の2L/3Lラインでのポジショニングを狙っています。

・ダブルマスク設計(腫瘍プロテアーゼで解除)
CD3結合面と腫瘍標的結合面の両方に抑制マスクを付け、腫瘍微小環境(TME)のプロテアーゼで切れて初めて強く働く仕掛け。

CD3結合は>600倍抑制、非マスクTCEに比べT細胞活性化・腫瘍殺傷の “見かけの力価” が最大500倍低い状態で全身曝露されるため、オフトゥーマー毒性やCRSを抑えつつ、有効濃度で長く回せる狙い。

加えてアルブミン結合ドメインで半減期延長=週1投与設計に寄与。

JANX007/008 の Phase 1b の初期データ

「JANX007/008」の Phase 1b(拡張コホート)の “初期データ” は 2025年下期(2H25)にアップデート予定です。

実際、同社は2025年7月24日の R&D Day を開催しており、その後も「2H25に追加データ更新」と示しています。より成熟した拡張データ(症例積み上がり後)は2026年前半にずれ込む可能性があります。

承認済み製品 / 現状

承認済み製品:なし(開発中)

技術基盤:TRACTr / TRACIr / ARM プラットフォーム

主力:JANX007(PSMA×CD3 TRACTr)JANX008(EGFR×CD3 TRACTr)

主要臨床成績
100%
PSA50
JANX007 初期データ

63%
PSA90
JANX007(mCRPC)

50%
ORR (客観的奏効率)

63%
DCR (疾患制御率)

臨床試験パイプライン
Phase 1b(拡張)
JANX007(PSMA×CD3 TRACTr)

対象:mCRPC(タキサン未治療)

進捗:Phase 1a(用量漸増)完了 → 1b 拡張中

PSA50/90/99:100% / 63% / 31%
ORR / DCR:50% / 63%
安全性:良好(報告ベース)

進行中

Phase 1
JANX008(EGFR×CD3 TRACTr)

対象:EGFR 陽性固形腫瘍(CRC/HNSCC/NSCLC/RCC/SCLC/膵/ TNBC 等)

進捗:初期臨床 試験進行中

目的:安全性・RP2D 決定
評価:初期有効性シグナル

進行中

Collaboration
Merck 共同プログラム(TRACTr)

進捗:最初の患者投与を実施

マイルストーン:$10M 受領
位置づけ:パートナー連携の加速

進行中

Preclinical
パイプライン拡張

候補:PSMA‑TRACIr(CD28共刺激)/ TROP2‑TRACTr / CD19‑ARM ほか

戦略:TRACTr / TRACIr / ARM の横展開

前臨床

パイプライン早見表
パイプライン 対象 臨床フェーズ 規制デザイン 安全性(AESI) 用法・用量 / 併用戦略 市場規模イメージ ポイント
JANX007(PSMA × CD3/TRACTr) 転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC) Phase 1(用量漸増→拡大) IND許可済/P1継続。
H2 2025に追加データ予定
CRS(多くはGrade 1–2)、発熱、悪寒、低血圧/
infusion/注射反応、疲労、悪心、ICANS(稀)、肝酵素変動、電解質異常
入院/外来のステップアップ投与+前投薬(ステロイド/抗ヒスタミン/解熱薬)。
維持は間隔投与(試験依存)。AR標的薬は併用許容範囲内で管理
大:前立腺癌(mCRPC) 2024/12中間:PSA50 100%、PSA90 63%、PSA99 31%。
2025/04更新:rPFS中央値 7.5–7.9か月、6か月rPFS 65–78%。
安全性は主にGrade 1–2(初回サイクル中心)。
JANX008(EGFR × CD3/TRACTr) EGFR陽性固形腫瘍(CRC, HNSCC, NSCLC, RCC, SCLC, PDAC, TNBC 等) Phase 1(FIH) IND許可済/P1継続。
H2 2025に更新予定
CRS、発熱、倦怠感、
EGFR関連:皮疹・下痢・低Mg血症、(稀に)ILD/肺毒性
ステップアップ+前投薬でCRS抑制し外来化を模索。
腫瘍種別コホートで単剤→併用を段階的に探索
大:EGFR陽性の多適応 進行固形がんで初期安全性・活性を探索中。
登録継続、後半にデータアップデート見込み。
PSMA-TRACIr(PSMA × CD28/免疫調節) mCRPC(JANX007併用想定) IND-enabling 前臨床→IND準備中。
R&D Dayで進捗と併用戦略を言及
免疫活性化に伴うCRS/irAE増強に注意、肝酵素/サイトカインの継続モニタ CD28共刺激で応答の深さ・持続を強化する設計。
JANX007との同日/順次投与スキームを最適化(試験規定)
中:PSMA領域で深さ/持続性の差別化 CD3×CD28の併用で奏効の深さ・DOR向上を狙う。
安全域と外来運用性が商業化の鍵。

開発ロードマップ
2025年 中後半

JANX007/008 追加データ & R&D Day

JANX007(1b)、JANX008(P1)の追加臨床データ公表。R&D Day で前臨床群も発表予定。

2026年

Phase 2 へ移行設計

各プログラムの RP2D 設定と患者集積、Merck 連携の進展。

2027年以降

レジストラショナル試験(P2/3)→ 申請へ

レジストラショナルに向けた戦略拡大(NDA までの道筋)。

注目すべきカタリスト
2025年後半
JANX007/008 の追加臨床データ、R&D Day(前臨床の公開)
2026年
Phase 2 設計確定、Merck プログラム進展
2027年以降
レジストラショナル(P2/3)→ 申請フェーズへ