
「AMTAGVI®」の収益と資金燃焼
Q2 2025 の製品売上は $60M(AMTAGVI+Proleukin) と、上市初期としては順調ですが、依然として販管費や製造コスト(CoGS)が重く、営業キャッシュアウトは大きいです。
iCTCでのTIL製造は 複雑かつコストが高い。直近では CoGS $56.7M のうち $19Mが患者ドロップオフ/製造効率低下による期間費用で、利益率に圧迫要因。高いバーンレートが「資金繰りリスク」として株価を抑えている状態です。
ポジティブな変化の可能性
IOVA の後期臨床のパイプラインの動向によっては、ゲームチェンジャーになる可能性もありますが、資金繰りとの兼ね合いになりそうです。
・TILVANCE-301(1Lメラノーマ, P3)
適応が 「初回治療(1L)」 まで拡大すれば、対象患者数は現在の数倍規模になります。承認を得られれば、市場ポテンシャルは特大(数千億円規模)。ただしP3で「pembro単剤 vs lifileucel+pembro」を比較するため、統計的優位性を明確に示せるかが最大の勝負所。
・IOV-LUN-202(NSCLC, 登録的P2 → AA狙い)
肺がん後治療(PD-1+プラチナ後)は患者数が膨大。Accelerated Approval(AA)が通れば、メラノーマを超える潜在市場になります。ただし、単群P2データベースでの申請は、FDAがどこまで受け入れるかがリスク。2027年規制判断ターゲットと時間もかかります。
承認済み製品:AMTAGVI®(lifileucel, 自家TIL)
主力:切除不能/転移性黒色腫(既治療)。PD-1阻害薬後、BRAF V600陽性はBRAF±MEK後が対象。
2024/2/16に米FDA「加速承認」。
商用展開(Q2 2025):製品売上 $60M(AMTAGVI+Proleukin)、ATC 80+拠点へ拡大。
海外:2025/8/18にカナダ NOC/c 条件付き承認取得。EUは2025/7/22に申請取下げ。
メラノーマ
Q2 2025
米国内
NSCLC, 子宮体がん
対象:既治療の進行/転移性黒色腫(米)
投与:自家TIL+リンパ球除去化学療法+高用量IL-2(Proleukin)
対象:未治療メラノーマ(1L)
デザイン:lifileucel+pembrolizumab vs pembrolizumab
対象:PD-1+プラチナ後の進行NSCLC(LN-145)
狙い:米 Accelerated Approval 申請基盤(単群登録的P2)
対象:既治療子宮頸がん(LN-145)
特記事項:BTD取得済み、単群/併用継続評価
対象:プラチナ+抗PD-1後
更新:初期結果 Q3–Q4 2025 見込み
対象:メラノーマ/NSCLC
概要:遺伝子編集TIL(PD-1 ノックアウト)安全性・有効性探索
対象:CLL/SLL
概要:末梢血リンパ球ベースの細胞療法
| パイプライン | 対象 | 臨床フェーズ | 規制デザイン | 安全性(AESI) | 用法・用量 / 併用戦略 | 市場規模イメージ | ポイント |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| AMTAGVI®(lifileucel, 自家TIL) | 進行/転移性黒色腫(既治療) | 承認済み | 米:2024/2/16 加速承認/加:2025/8/18 NOC/c | 前処置(Flu/Cy)に伴う重度好中球減少・血小板減少、感染症/高用量IL-2由来の毛細血管漏出、低血圧、腎機能変動、肝酵素上昇 | 単回TIL輸注+前処置リンパ球除去化学療法+高用量IL-2サポート。局所放射線やPD-1阻害後の救済で実臨床活用 | 大:メラノーマ後治療市場 | RWD ORR49%、ATC 80+、売上$60M(Q2 2025)。普及はセンター能力と入院運用が鍵。 |
| TILVANCE-301(1L メラノーマ) | 未治療メラノーマ(1L) | Phase 3 | —(イベントドリブン) | 上記TIL関連AESIに加え、併用IO時の免疫関連事象モニタリング | 1Lは抗PD-1併用戦略を中核(試験デザイン依存)。単回TIL+IL-2の基本骨格は同様 | 特大:1L市場 | 適応拡大の鍵。イベント進捗次第で商業加速に弾み。 |
| IOV-LUN-202(NSCLC, LN-145) | PD-1+プラチナ後 NSCLC | 登録的 Phase 2 | 米AA申請を視野 | 前処置骨髄抑制、感染、IL-2毒性。肺機能に留意(既往治療でリスク増) | 単回TIL+IL-2。抗PD-1後ラインでの救済ポジションを想定 | 特大:NSCLC 後治療 | Q3–Q4 2025追加データ、米規制2027目線。製造TAT短縮が採用の鍵。 |
| C-145-04(子宮頸がん) | 既治療 子宮頸がん | Phase 2 | BTD 取得 | TIL/IL-2関連AESI全般。骨盤放射線歴のある症例での合併症管理 | 単群/併用で継続評価。前処置+TIL+IL-2は基本同一 | 中:高未充足ニーズ | 奏効持続の深さが承認戦略のドライバー。単群→登録的への橋渡し注目。 |
| IOV-END-201(子宮体がん) | プラチナ+抗PD-1後 | Phase 2 | — | 骨髄抑制、感染、IL-2毒性。併存症(代謝・循環器)管理 | 救済ラインの単剤TIL。適応広がりを見据え併用探索余地 | 中:選択肢乏しい領域 | 初期結果Q3–Q4 2025予定。DOR/DoCRに市場の視線。 |
| IOV-4001(PD-1 KO TIL) | メラノーマ/NSCLC | Phase 1/2 | — | 遺伝子編集に伴うオンターゲット・オフターゲット評価、長期追跡。標準AESIはTILに準拠 | PD-1無効化TILで機能持続化を狙う。前処置+IL-2は同様 | 大:差別化余地 | 先行する編集TILとしての位置付け。製造一貫性と安全性が採用の肝。 |
| IOV-2001(PBL 療法) | CLL/SLL | Phase 1/2 | — | リンパ球除去後の感染、サイトカイン関連、血液毒性。BTK阻害薬等からの切替時リスク | PBL(末梢血T細胞)増幅ベース。既存標準治療との併用・シーケンス最適化を探索 | 中:血液がん転用枠 | プラットフォームのPoC段階。製造容易性とコストが商業化可否に直結。 |
EUの申請取下げ(2025/7/22)により欧州戦略を再設計中。一方でカナダは NOC/c を取得済み。米国は商用拠点(ATC)の拡大と実臨床データ(RWD)の積み上げが売上レバレッジに直結。製造は iCTC と Gen3(16日製造)でリードタイム短縮・成功率改善を図る。
| 日付 | フェーズ / イベント | 内容 | 所要期間(該当) |
|---|---|---|---|
| 2017/04 | Phase 2 開始(C-144-01 Cohort 2) | 後治療メラノーマで単群にてlifileucelを評価(Gen-2製品)。 | — |
| 2018/06/07 | マイルストン | 欧州で初回投与(グローバル運用の確認)。 | — |
| 2019/01 | 登録完了 | Cohort 2 登録終了、解析へ。 | — |
| 2019/04/02 | Phase 2(Cohort 4)開始 | 登録用(pivotal)コホートの初回投与。 | — |
| 2019/12 | 登録完了 | Cohort 4 登録完了(最終投与約87例)。 | — |
| 2022/12 | データ公表 | Cohort 2+4 のプール解析をオンライン公開(JITC)。 | — |
| 2023/02/14 | Phase 3 設計公開 | TILVANCE-301(lifi+pembro vs pembro)プロトコールFirst Posted。 | 設計 → 開始:約4か月 |
| 2023/06/15 | Phase 3 開始 | 初回ランダム化。主要:ORR/PFS、約670例。PD後はlifi単剤クロスオーバー可。 | — |
| 2023/03/27–28 | BLA | Rolling BLA 提出完了(2022/08/25開始)。 | — |
| 2024/02/16 | 承認 | AMTAGVI が米FDAで加速承認。適応:既治療メラノーマ。 | — |
| 2024/04/10 | 学会 | AACR 2024でTrial-in-Progressポスター(Phase 3詳細)。 | — |
| 2025/05 | 長期データ | C-144-01 の5年追跡解析(奏効持続・生存の更新)。 | — |
Phase 2(C-144-01)Cohort 2 登録開始
多施設・単群試験として lifileucel(AMTAGVI) を後治療メラノーマで評価。冷凍保存のGen-2製品を使用。
欧州で初回投与(C-144-01 継続)
グローバル展開の節目。製造・物流の実運用体制を検証。
Cohort 2 登録完了
主要有効性(ORR)と持続性(DOR)を中心に解析へ移行。
Phase 2(C-144-01)Cohort 4「登録用(pivotal)」初回投与
後治療メラノーマの 登録データ取得を目的に拡大。最終的に投与患者は約87例。
Cohort 4 登録完了
安全性・有効性の成熟データ収集へ。→ 加速承認申請パッケージの中核。
Cohort 2+4 プール解析(JITC オンライン公開)
ORR約36%など、長期追跡を含む有効性・安全性を整理(印刷版は2023/01)。
Phase 3(TILVANCE-301)プロトコール公開
Front-line:lifileucel+pembrolizumab vs pembrolizumab。主要評価はORR/PFS、約670例規模。
Phase 3(TILVANCE-301)初回ランダム化
試験本格始動。所要(設計→開始):約4か月(2023/02/14 → 2023/06/15)。
PD後のlifileucel単剤クロスオーバー許可など運用面を明確化。
Rolling BLA 提出完了(加速承認向け)
2022/08/25に開始したローリング提出を完了。2023/05にPriority Reviewで受理。
AMTAGVI(lifileucel)米FDA 加速承認
対象:切除不能/転移性メラノーマの既治療。確認試験=Phase 3(TILVANCE-301)が継続。
AACR 2024:Trial-in-Progress 公開
Phase 3 の詳細デザイン・運用(層別、評価時点、クロスオーバー条件)を共有。
5年追跡解析(C-144-01 長期フォロー)
奏効持続と生存の長期データを更新。実臨床での位置づけを補強。
商用KPI更新
製品売上 $60M、ATC 80+へ。RWD(ORR 49%)公開。
NSCLC / 子宮体がん データ更新
IOV-LUN-202 追加データ、IOV-END-201 初期結果。ATC稼働率・Gen3適用範囲拡大。
TILVANCE-301(1Lメラノーマ)主要イベント
登録・イベント到達、確証的アウトカムの可視化。
NSCLC(post-PD-1)規制判断 目線
IOV-LUN-202 を基にした米規制判断のターゲット年。
IOV-LUN-202 追加データ、IOV-END-201 初期結果、ATC拡大・RWD更新、Gen3 適用拡大
TILVANCE-301 登録進捗・主要イベント、NSCLC AA 申請準備、iCTC 増強効果の可視化
NSCLC(post-PD-1)米規制判断
