
ポイント
2025年10月23日に発表された、DR5アゴニスト「ozekibart(INBRX-109)」の登録用P2(ChonDRAgon)で主要評価項目を達成以降、株価は上昇を続けています。
これは、登録用P2(ChonDRAgon)が明確に勝った→適応に初のランダム化エビデンス→BLAタイミングが見えた→他腫瘍への拡張性、の4点で評価が一段切り上がっています。
・主要評価PFSを有意に改善(HR 0.479)
登録用P2「ChonDRAgon」(n=206、2:1無作為化、プラセボ対照)がPFSで統計学的・臨床的有意差(進行/死亡リスク52%低下、中央値5.52か月 vs 2.66か月)を達成。従来有効薬がない軟骨肉腫で、ランダム化試験として初の明確なPFS利益という “質の高いポジティブ”。
・規制パスが具体化(Q2 2026にBLA申請予定)
会社はこのトップラインを踏まえ2026年Q2のBLA提出を明言。オーファン/FTD(Fast Track)指定も既取得で、審査効率の期待が持てる構図。
・安全性リスクは “織り込み&緩和策提示”
DR5作動薬で論点になりやすい肝毒性について、早期死亡例1件を含むが肝機能重度障害の除外と初期サイクルの厳密モニタで管理可能と説明。投与関連肝事象は主に Grade 1–2 で、全体発現率も低めと開示。リスクは残るものの、緩和策と一貫データを提示した点が安心材料に。
・“1適応で黒字化” の現実味+他腫瘍でTAM拡大のオプション
軟骨肉腫は超稀少だが、初承認薬となればプレミアム価格と高い採用率が見込まれるうえ、交差投与許可下でもPFS差を出しているため臨床現場での説得力が強い。さらに CRC(FOLFIRI併用でORR 23%/DCR 92%)とユーイング肉腫(IRI/TMZ併用でORR 64%/DCR 92%)の拡張コホート速報が MoA の汎用性を示唆=将来の適応拡大オプション価値を上乗せ。
・資本市場面の “構造要因”
2024年の Sanofi による INBRX 本体買収+スピンオフ(INBX)で、109など腫瘍領域資産が小型の純粋プレイとして独立。希少がんでの“登録用P2陽性→BLA明示”は、この構造の銘柄にとって需給/再評価圧力を強めやすい。
要は、高エビデンスの陽性結果(HR≈0.48)+最初の承認薬になり得る稀少がんという “収益の見通しが立つ勝ち筋” を示しつつ、CRC/ユーイングでの手応えが中長期のアップサイドを作っている——この合わせ技でバリュエーションが一気に切り上がった、という見立てです。
2025年10月23日:DR5アゴニスト「ozekibart(INBRX-109)」の登録用P2(ChonDRAgon)で主要評価項目PFSをプラセボ対照で有意に達成(cCS)。Ewing肉腫・大腸がん拡大コホートも進捗更新。
2025年:INBRX-106(OX40アゴニスト)の1L R/M HNSCC(CPS≥20)を対象とするシームレスPhase 2/3(HexAgon-HN)をグローバルで進行中(pembrolizumab併用)。
承認済み製品:なし(開発中)
主力候補:ozekibart(INBRX-109:DR5アゴニスト)— 従来型軟骨肉腫(cCS)の登録用P2でPFS有意達成。
補足:INBRX-106(OX40アゴニスト;pembrolizumab併用、1L R/M HNSCC)をシームレスP2/3で開発中。※INBRX-101(AATD)は2024年にSanofiへ売却済み(現INBXのコア外)。
対象:従来型軟骨肉腫(cCS)
作用:DR5(TRAIL-R2)アゴニスト/テトラバレント抗体
対象:再発/転移頭頸部扁平上皮がん(初回治療)
作用:OX40 アゴニスト/ヘキサバレント抗体(pembrolizumab併用)
| パイプライン | 対象 | 臨床フェーズ | 規制デザイン | 安全性(AESI) | 用法・用量 / 併用戦略 | 市場規模イメージ | ポイント(市場評価) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ozekibart(INBRX-109) | 従来型軟骨肉腫(cCS)ほか(拡大:Ewing、CRC) | Registrational Phase 2 | プラセボ対照P2(主要=PFS) | 肝毒性、サイトカイン関連事象などを重点監視 | 単剤中心。肉腫横断や化療併用の探索余地 | 中:希少がん(肉腫) | PFS有意達成で規制対話が加速。FTD/ODDで承認パスに追い風 |
| INBRX-106(OX40) | 1L R/M HNSCC(CPS≥20) | Seamless Phase 2/3 | pembro単独対照のRCT(P2→P3移行型) | 免疫関連有害事象、肝酵素、腫瘍増悪様イベント等 | pembrolizumab併用(用量固定) | 大:HNSCC(初回治療ライン) | 大市場での上乗せ効果が焦点。中間解析の閾値設計に注目 |
- レジストレーションP2で勝ち筋:cCSでPFS有意は希少、FTD/ODDの支援もあり承認申請の現実味が増加。
- 二軸でのリスク分散:希少がん(109)と大市場免疫腫瘍(106)の組合せで非相関に分散。
- 資本/提携オプション:トップラインをテコに資金調達や共同開発の選択肢が拡大。
イベントドリブン色が強い局面。109の規制パス公表と106の中間解析が主要フローで、学会詳細や拡大コホートの質(DoR、層別PFS)がバリュエーション感応。
INBRX-109 登録用P2 詳細解析・規制当局協議
PFS HRやサブ群の提示、学会スロット確定。FDAと承認経路の擦り合わせ。
INBRX-109 規制パス公表/申請計画
追加試験要否、申請種別とスケジュールの明確化。
INBRX-106 P2部 中間解析 → P3部移行判断
イベント蓄積に応じた事前規定中間解析で上乗せ効果を評価。
INBRX-109 の詳細データ公表、規制当局協議入り、Ewing/CRC拡大コホート更新
INBRX-109 の規制パス発表/申請計画、INBRX-106 のP2部中間解析
INBRX-109 の承認可否、INBRX-106 のP3部進展
