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【BLTE】Belite Bio カタリストとロードマップ

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【BLTE】Belite Bio カタリストとロードマップ

ハイライト

2025年12月1日:経口RBP4阻害薬 tinlarebant(LBS-008) の思春期Stargardt病グローバル pivotal 試験DRAGON(Phase 3)トップラインを発表。萎縮病変拡大速度をプラセボ比36%抑制(p=0.0033)、良好な安全性プロファイルを報告。

2025年10月:中国NMPAが Stargardt病向け tinlarebant のNDAを優先審査で受理。DRAGON データを基盤としたアジア初の承認申請。

2025年7月2日:地理的萎縮(GA)を対象とするグローバル Phase 3 試験PHOENIX529例の登録完了を発表。24か月フォロー後のトップラインに向け進行中。

2025年9月12日:DRAGON 試験で全例の2年フォローアップ完了を発表し、pivotal データパッケージ完成のマイルストンを達成。

2024年7月:日米欧を含む追加試験DRAGON II(Phase 1b + Phase 2/3)を開始。日本人コホートを含む PK/PD・長期安全性データの取得に着手。

2024年–2025年:tinlarebant は米FDAのBreakthrough Therapy / Fast Track / RPDD / Orphan指定、欧州・日本での Orphan 指定、日本での先駆け指定(Pioneer Drug)を取得し、STGD1初の治療薬候補として規制面の優遇をフルに獲得。

承認済み製品 / 現状

承認済み製品:なし(開発中)

主力候補:tinlarebant(LBS-008、経口RBP4阻害薬)— Stargardt病(STGD1)を対象とするグローバル pivotal Phase 3 試験 DRAGON を成功裡に完了

補足:同一薬剤 LBS-008 を用いた地理的萎縮(GA)向けグローバル Phase 3 試験 PHOENIX が進行中で、LBS-009(RBP4阻害・肝疾患/2型糖尿病向け)は前臨床段階。

主要臨床成績
2025年Q3
DRAGON(STGD1, Ph3)2年フォローアップ完了

2025年Q4
DRAGON トップライン発表:萎縮進行を36%抑制(p=0.0033)、良好な安全性

2025年Q3
PHOENIX(GA, Ph3)登録529例完了(24か月フォローへ移行)

2027年Q3〜Q4
PHOENIX トップライン & DRAGON II トップライン読み出し目安

臨床試験パイプライン
Phase 3 完了 → NDA準備
tinlarebant(LBS-008)— STGD1:DRAGON

対象:12〜20歳の思春期〜若年成人 Stargardt病(STGD1)患者

作用:経口 RBP4 阻害によりビタミンA輸送を抑え、網膜でのA2E/リポフスチン蓄積を低減し萎縮進行を遅らせる

進捗:2年投与+フォロー完了。DRAGON Phase 3 にて萎縮病変拡大速度をプラセボ比36%抑制(p=0.0033)
安全性/PD:重大な安全性シグナルなし。血中RBP4を70%以上低下させる PD 効果を確認
次読出し:2026年Q1〜Q2の米国 NDA 提出・受理、および各国規制当局との協議アップデート

Phase 1b + Phase 2/3
tinlarebant(LBS-008)— STGD1:DRAGON II

対象:日米欧を含む Stargardt病(STGD1)患者(思春期〜若年成人)

作用:DRAGON と同一の経口 RBP4 阻害戦略。エスニック差異と長期安全性を追加評価

Phase 1b:日本人6例で PK/PD・安全性評価を実施(tinlarebant 5mg 1日1回)
Phase 2/3:日米英などで60例を無作為化(tinlarebant vs プラセボ、24か月)。萎縮病変面積の年あたり増加率を主要評価項目として継続中
完了予定:2027年Q3 前後にフォロー完了・トップライン目安

Phase 3
tinlarebant(LBS-008)— Geographic Atrophy(GA):PHOENIX

対象:ドライAMDに伴う地理的萎縮(GA)患者(高齢者中心)

作用:RBP4阻害によるビタミンAサイクル調整を通じて、網膜色素上皮と光受容体の萎縮進行を遅らせる

進捗:529例の登録を完了し、24か月フォロー中(pivotal Phase 3)
主要評価項目:DRAGON と同様の画像ベース指標による GA 病変面積の年間増加率
トップライン:2027年Q4〜2028年Q1 での読み出しが視野

GA で有効性が示されれば、STGD1 ニッチ+GA 大規模市場の二本柱に発展

パイプライン早見表
パイプライン 対象 臨床フェーズ 規制デザイン 安全性(AESI) 用法・用量 / 併用戦略 市場規模イメージ ポイント(市場評価)
tinlarebant(LBS-008)— STGD1:DRAGON 思春期〜若年成人の Stargardt病(STGD1) Phase 3 完了 → NDA準備 US:Breakthrough / Fast Track / RPDD / Orphan、EU/JP:Orphan、日本:先駆け指定 ビタミンA低下に伴う夜盲・皮膚/粘膜症状、脂質異常、肝機能変動などを重点監視 1日1回経口単剤。長期投与を前提とし、将来は遺伝子治療など他モダリティとの併用ポジションも検討余地 中:超希少だが高単価が見込める遺伝性網膜ジストロフィー STGD1 初の治療薬として設計・規制優遇を総取り。pivotal 成功で高いデリスクが進行。
tinlarebant(LBS-008)— STGD1:DRAGON II STGD1(日本人を含む追加グローバルコホート) Phase 1b + Phase 2/3 既存の Breakthrough/Orphan 等を活用しつつ、地域ごとのレジストリ・データ要求に対応 長期投与下でのビタミンA関連症状、成長期における視機能や安全性への影響をフォロー 1日1回経口。DRAGON データを補完する形で、エスニック別の用量設計や承認後レジストリへの橋渡し 中:DRAGON を補完し、ラベル・再審査など中長期の価値を支えるデータパッケージ 承認後の real-world evidence を先取りするような役割を持ち、ペイヤー/HTA 対応に重要。
tinlarebant(LBS-008)— GA:PHOENIX ドライAMDに伴う Geographic Atrophy(GA) Phase 3 現時点で明示的な特別指定は限定的だが、高齢視覚障害の大きな未充足ニーズとして priority review の議論余地 高齢集団における脂溶性ビタミンバランス、肝/腎機能、脂質プロファイルを継続モニタリング 1日1回経口。既存の補体阻害注射薬との併用・シーケンス戦略などポジショニング検討余地 大:高齢者に多い GA は世界的に数百万人規模の市場 「初の経口 GA 治療薬」ポジションを取れれば、投与負担の低さで大きな差別化ポテンシャル。
tinlarebant(LBS-008)— STGD1 長期安全性 思春期 STGD1 長期フォロー(P1b/2 オープンラベル) Phase 1b/2 継続フォロー 同上(Breakthrough / Orphan 等)を背景に post-marketing の安全性要求を先取り 成長期における長期ビタミンA調節の安全性、骨・成長・内分泌への影響などを広く観察 1日1回経口。治療開始時期や投与期間の最適化につながる real-world に近いデータを提供 小〜中:直接売上には寄与しないが、ラベル拡大・治療指南作成で価値を発揮 早期介入のベネフィットを定量化できれば、診断・スクリーニングの強化にもつながる。
LBS-009(RBP4阻害) NAFLD / NASH / 2型糖尿病など代謝・肝疾患 前臨床 現時点で規制デザイン未取得(将来的に NASH 等で Fast Track/Breakthrough 申請余地) 長期のRBP4抑制による脂質代謝・ビタミンA代謝・肝機能への影響を非臨床で精査 経口投与想定。肝疾患治療薬や GLP-1 / SGLT2 など代謝薬との併用戦略が将来のテーマ 大:NAFLD/NASH/2型糖尿病は患者母数が桁違いのマス市場 眼科で確立した RBP4 プラットフォームを全身性代謝疾患へ水平展開できれば、企業価値の第二の柱に。

ポイント
  • RBP4 ターゲット企業:tinlarebant(LBS-008)と LBS-009 によるビタミンA輸送(RBP4)制御プラットフォームを中核に、希少眼科疾患から GA・代謝疾患へと展開するストーリー。
  • STGD1 での先行優位:Stargardt病向けに Breakthrough / RPDD / Orphan / 先駆け指定を総取りし、pivotal Phase 3 成功済み。世界初の STGD1 疾患修飾薬候補として規制・科学の両面で強いポジションを確保。
  • GA という第二の巨大柱:Geographic Atrophy 向け PHOENIX Phase 3 が進行中で、補体阻害注射薬とは作用機序も投与形態も異なる初の経口オプションとして差別化余地が大きい。
  • 長期オプション:LBS-009 による NAFLD/NASH/2型糖尿病など代謝疾患への展開はまだ前臨床だが、患者母数の大きさから中長期のバリュー・オプションとして機能。

ファンドのポジション

希少疾患・眼科に強みを持つスペシャリストファンドや、後期臨床データを重視するクロスオーバーファンドが中心にポジションを構築していると想定されます。投資家は、

  • Stargardt病でのpivotal 成功+規制優遇によるデリスク
  • GA Phase 3 の大規模アップサイド
  • 代謝疾患向け LBS-009 の将来オプション価値

といったポイントを組み合わせて、中長期のリスク・リワードを評価している局面と見られます。

開発ロードマップ
完了:2025年Q3

DRAGON Phase 3(STGD1)2年フォローアップ完了

全104例の2年フォローを完了し、Stargardt病における萎縮進行抑制の pivotal データパッケージを確定。

完了:2025年Q4

DRAGON トップライン発表

tinlarebant がプラセボ比36%の萎縮進行抑制(p=0.0033)を示し、STGD1 初の疾患修飾薬候補としての位置づけを確立。

2026年Q1〜Q2

tinlarebant(STGD1)米国NDA提出・受理

DRAGON データと各種規制指定を背景に、米FDAへの NDA 提出と受理が見込まれ、続いてEU/日本での申請が想定される。

2027年Q2

PHOENIX(GA)24か月フォロー完了

529例全例のフォローアップを完了し、GA における萎縮進行抑制の最終解析段階に移行。

2027年Q3〜Q4

PHOENIX & DRAGON II トップライン → GA/追加STGD1データ確定

GA Phase 3 と DRAGON II のトップライン読み出しにより、tinlarebant の適応拡大とグローバルデータパッケージが出揃うフェーズ。

注目すべきカタリスト
短期(〜2026年Q4)
tinlarebant(STGD1)米国NDA提出・受理、EU/日本での申請ニュース、中国NMPAによる優先審査の進捗(承認可否)。DRAGON II/PHOENIX の登録・フォロー状況アップデート。

中期(2027年Q1〜2028年Q1)
STGD1 各国での承認・ローンチ、PHOENIX(GA)24か月フォロー完了とトップライン発表、DRAGON II トップライン。これらに伴う売上トラジェクトリとペイヤー環境の立ち上がり。

長期(2028年〜)
GA での承認・市場浸透度、tinlarebant の適応拡大・併用試験、LBS-009 の臨床入り(Phase 1)と代謝疾患への展開。RBP4 プラットフォーム全体の価値再評価のタイミング。