
BioAge は、ヒトの加齢生物学を標的とすることで代謝性疾患に対する治療候補品を開発する、臨床段階のバイオ製薬企業です。
同社のリード候補である「BGE-102」は、強力かつ経口投与可能で脳内移行性を有する低分子 NLRP3阻害剤 であり、肥満を対象に開発されています。
「BGE-102」は、前臨床モデルにおいて単剤投与および GLP-1受容体作動薬との併用の両方で、顕著な体重減少を示しました。現在、第1相 SAD/MAD試験 が進行中であり、年末までに初期のSADデータが得られる見込みです。
また、同社は肥満を対象とした長時間作用型注射剤および経口低分子APJ作動薬の開発も進めています。
さらに、BioAge はヒト長寿データに基づいて構築した独自の探索プラットフォームから得られる知見を活用し、代謝老化に関与する主要経路を標的とする前臨床プログラムにも取り組んでいます。
主力失敗からの方針転換
BioAge は、リード候補だった azelaprag の肥満向け第2相(STRIDES試験)を、投与群で肝酵素上昇(トランスアミナーゼ上昇)が見られたため2024年12月に中止しました。その後、azelaprag 開発は段階的に断念しています。
現在は方針転換し、「BGE-102(経口NLRP3阻害剤)」を新たな主力として第1相(SAD/MAD)を開始しています。初期SADデータは年内(2025年)見込みと案内されています。
承認済み製品:なし(開発中)
主力候補:BGE-102(経口・脳移行性 NLRP3 阻害薬)— 肥満など代謝疾患を対象。
補足:Apelin/APJ アゴニスト群(長作用性バイオロジクス/経口小分子)は前臨床を拡充中。Azelaprag / BGE-105 は肥満 P2 を中止(筋萎縮 P1b で有効性シグナルの実績)。
対象:肥満(初期)ほか代謝疾患
投与:経口・脳移行性 NLRP3 阻害薬(SAD→MAD)
解析:長作用性バイオロジクス(ナノボディ)/経口小分子の候補最適化
対象:高齢者ベッドレストの筋萎縮
所見:筋萎縮抑制の有意差を確認(肥満 P2 は 2024/12 中止)
| パイプライン | 対象 | 臨床フェーズ | 規制デザイン | 安全性(AESI) | 用法・用量 / 併用戦略 | 市場規模イメージ | ポイント(市場評価) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| BGE-102(経口・脳移行性 NLRP3阻害) | 肥満(初期)ほか代謝疾患 | Phase 1(SAD→MAD進行中) | 2025/08/15にP1開始。SAD→MADで安全性/PK/初期PDを確認(特別指定の公表なし) | クラスとしての免疫/感染関連、肝機能、中枢症状の監視 | 経口。単剤およびGLP-1受容体作動薬との併用を想定(体重減少の相加/相乗を検証) | 大:肥満治療の補完/差別化領域 | 2025年内にSAD初期データ。2026年に肥満PoC→年末トップライン想定。 「CNS移行型NLRP3」という差別化が評価ポイント。 |
| Apelin/APJアゴニスト群(長作用性注射剤 / 経口小分子) | 肥満・代謝、筋代謝改善 | 前臨床 | JiKangナノボディのオプション契約。 経口小分子は2025/05に仮出願済。IND準備段階 |
血圧/心血管動態、消化器などクラス相当の監視 | 長作用性バイオロジクスで持続効果を狙い、“運動ミメティクス”概念を志向。 GLP-1系の停滞/不耐への補完併用を想定 |
中:GLP-1系の補完ポジション | 代謝老化の経路多角化で差別化。 前臨床からの翻訳性データと投与形態(LAI/経口)の実装が評価鍵。 |
| Azelaprag / BGE-105(APJアゴニスト) | 筋萎縮(P1b実績)/肥満 | P1b完了/肥満P2中止 | 肥満P2(STRIDES)は安全性懸念で2024/12中止。 プログラムは新規APJ群へ再編 |
肝酵素上昇(観察)を中心に肝機能の長期監視が必要 | 経口。高齢者ベッドレストP1bで筋量維持シグナル。 将来は新規APJ群での最適用量/併用設計を再構築 |
中:筋量維持など補完的価値 | 肥満P2中止によりリセット。 過去の筋代謝シグナルを活かしつつ、新規APJ群での安全性再検証が評価の前提。 |
BioAge Labs は、BGE-102 による NLRP3 経路(経口・脳移行性)で肥満などの代謝疾患に挑む一方、Apelin/APJ は旧プログラムの見直しを経て「長作用性バイオロジクス/経口小分子」の新規候補群に再編・強化。2025年Q2の現金等は約$313Mで、会社は〜2029年までのランウェイと説明しています。短期は BGE-102 の P1(SAD 初期データ)、中期は 2026 年の肥満 PoC とトップラインが主要なカタリストとなります。
BGE-102 Phase 1 開始(初回投与)
経口・脳移行性 NLRP3 阻害薬として SAD を開始。以後 MAD 段階へ移行予定。
BGE-102 SAD 初期結果
安全性・薬物動態(PK)の初期データを公表予定。
肥満 PoC 試験開始 → 年末トップライン
肥満患者で概念実証(PoC)を実施。年末にトップライン見込み。
Apelin/APJ アゴニスト群の前臨床拡充
JiKang ナノボディのオプション/経口小分子の候補絞り込み→IND 準備へ。
レジストレーショナル計画の検討
BGE-102 PoC 成果と安全性プロファイルに基づき、次段階(後期開発)の設計を検討。
BGE-102:SAD 初期データ(安全性・PK)/MAD 移行、資金・ランウェイ更新
肥満 PoC 試験の実施と年末トップライン、Apelin/APJ:候補確定・IND 準備と提携進展
BGE-102:後期開発設計(レジストレーショナル)/Apelin/APJ:プログラムの臨床入り
