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【BCYC】Bicycle Therapeutics のカタリストとロードマップ

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【BCYC】Bicycle Therapeutics のカタリストとロードマップ

BCYC は、2024年10月下旬以降からなぜ株価は下落の一途だったのでしょうか?

その理由には、材料の “質” と “見通しの出し方” が市場期待に届かなかったのが主因です。経営陣が “ダメ” というより、データの相対評価(Padcev+ペムブロに対してどう優位か)と、登録(AA)までの道筋の明確さで投資家の目線にミスマッチが出た、というのが原因です。

2024年10月31(Q3決算)現金$890.9Mと強い資金を示した一方、肝心のBT8009(zelenectide)の登録計画・タイムラインは引き続き “進行中” の表現で、明確な規制パス提示は先送りのトーンでした。期待先行で上昇していた分、イベント通過で失望売りのきっかけに。

2024年12月12(プログラム更新)1L mUCでBT8009+ペムブロのORR=60%(トップライン)と発表。これは既存標準の Padcev+ペムブロ(承認済み)と同等レンジに見える数値で、“決定的な優位” を示せなかったとの受け止めが広がり株価が下押し。さらに Duravelo-2(P2/3)の用量選択とAA経路の更新は“2025年下期” とされ、レジストリへの道のりが長い印象が強まりました。

2025年以降の追い打ち(決算・見通し)2025年Q2までにR&D費増・収益ミス→アナリストの目線引き下げ・格下げが散発。Duravelo-2の “用量選択+AAアップデートは2025年Q4” というガイダンスも据え置きで、“待ち” が続くことへのフラストレーションが株価の重しに。

株価悪化は “開発の質そのものが致命的” というより、「既存標準を凌駕したと市場に言い切れない」「規制パスの具体化が遅い」「待ち時間の長さに対する期待管理が弱い」というコミュニケーションと相対評価の問題が大きい。ここを反転させるには、Duravelo-2の明快なレジストリ戦略(用量・転帰指標・AA妥当性)の提示がカギです。

巻き返しポイント

・2025年Q4
Duravelo-2 の用量選択+AA経路アップデート(最重要)。Padcev併用時代に“勝ち筋”をどう明確化するかが評価の分岐。

・BT5528/BT7480 併用の初回データ
BTC/TICAプラットフォームの横展開価値次第で単一資産リスクを薄められるか。

・BRC(EphA2初回ヒトイメージング→2026年自社治験)
差別化モードの第二柱になり得るか。

進行状況

BT8009(zelenectide pevedotin)は、尿路上皮がん(mUC)の登録試験である Phase 2/3「Duravelo-2」(BT8009-230)が稼働中。並行してDuravelo-1(P1/2)の拡大コホートから1L(シスプラチン不適格)併用で ORR 65%などの初期有効性が出ています。今後は2025年下期(Q4想定)に Duravelo-2 の用量選択結果と AA(加速承認)方針のアップデートが会社計画です。

Duravelo-2(P2/3, mUC 登録試験)進行中
グローバル多施設・適応型の無作為化オープンラベル。
– コホート1(1L):未治療でプラチナ適格の mUC。主要評価 PFS。
– コホート2(既治療):少なくとも1レジメン治療歴あり。主要評価 ORR。
試験は単剤とpembrolizumab 併用を評価。最終完了は登録計画上2030年12月見込み。

Duravelo-1(P1/2)拡大コホートの最新データ
1L:pembro併用で ORR 65%(CR 25%含む)、安全性は既知プロファイルと概ね整合。用量は5 mg/m²(Day1/8/15, q21d)+pembro 200 mg。

気持ちわかります…。最終完了=2030年12月は「Duravelo-2(P2/3)」の全登録→追跡→最終解析まで見た“完走予定日”なので、株価の評価軸が遠く見えるのは確かです。
ただし、投資家が実際に見る“手前の山場”は別にあります。
いま起きていること
BT8009 は登録試験 Duravelo-2(P2/3)が進行中。
まずP2相当の“用量選択パート”→条件を満たせば**同一試験内で拡大型(≒P3)**へ。
Q4 2025:会社が“用量選択の結果と AA(加速承認)方針の更新”を出す計画。
→ ここが直近で株価が反応しやすいカタリスト。
なぜ“先が長く見える=株価重い”になりやすいか
ClinicalTrials.gov の最終完了日は保守的(安全性追跡やOS追跡まで入れるため、しばしば“10年計画”に見える)。
フロントラインmUCは既に強い標準治療(EV+pembro)があり、差別化・申請経路の見通しが固まるまでディスカウントされがち。
資金繰り(希薄化)懸念:長期戦の銘柄は追加資金=株式発行リスクを常に意識される。
それでも“手前で見られる”評価イベント
Duravelo-2 用量選択パートのデータ(Q4 2025)
既治療コホートでORRが強ければ AA 交渉の現実味。
1L併用の安全性/初期有効性とレジメン確定。
Duravelo-1 拡大コホートのアップデート
既報:1L併用 ORR 65%(確定 50%)。追跡で奏効の深さ・持続が上がればポジティブ。
適応拡大の進捗(乳/肺の Nectin-4“増幅”集団)
バイオマーカー濃縮で差別化が示せるか。
他パイプライン
BT5528×PD-1(Q4 2025 初回読出し)、BT7480 併用初回データ。
→ 会社全体の“将来キャッシュフロー源”としての分散。
シナリオ感(個人メモ用)
強気:Duravelo-2(既治療)でORR・DORが説得力→AA方針明確化→資金は非希薄/提携で賄える示唆。
中立:用量選択は出るがAAは時期尚早→拡大型へ。資金面は小~中型の希薄化を織り込む。
弱気:有効性/安全性で明確な優位性が見えず→“2030年”の最終完了を意識した長期戦&ディスカウント継続。
いまチェックしておきたい3点
現金残高とランウェイ(次の資金調達タイミングをざっくり把握)
FDAとの対話内容の粒度(“AA視野”が仄めかしか具体化か)
競合ポジショニング(EV+pembro 対してどのライン/サブセットで勝ち筋を作るか)
まとめ:最終完了2030年は“完走ゴール”。株価はその手前のマイルストーン(Q4 2025 用量選択/AA方針、Duravelo-1更新)に先回りしやすいです。短期は重く見えても、近接カタリストにどう備えるかがポイントですね。
(投資判断ではなく情報整理。必要なら、直近イベントだけを1枚の“カタリスト表”にして渡します)

承認済み製品 / 現状

承認済み製品:なし(開発中)

主力候補:zelenectide pevedotin(BT8009, Nectin-4 標的 BTC)— 尿路上皮がん(mUC)先行、Nectin-4 遺伝子増幅(amp)を活用して乳がん/肺がんへ拡張中。

補足:BT5528(EphA2 標的 BTC)および BT7480(Nectin-4×CD137, Bicycle TICA)の併用初回データを 2025年Q4 に予定。放射薬(BRC:MT1-MMP/EphA2)も 2026年に企業主導臨床を計画。

主要臨床成績
65% / 50%
1L mUC(ペムブロ併用)ORR(未確定/確定, Duravelo-1)

45%
mUC 単剤 ORR(BT8009/BT5528 過去アップデート)

Q4 2025
Duravelo-2 用量選択+AA経路更新 / 併用P1初回データ

$721.5M
現金等(2025/6/30)— ランウェイは概ね 2028年まで

臨床試験パイプライン
P2/3(登録)
BT8009(zelenectide)— Duravelo-2

対象:1L mUC(ペムブロ併用 vs 化学療法)、後期ライン単剤/併用アームを含む。

設計:用量比較(5 mg/m² weekly / 6 mg/m² 2週オン1週オフ)。

次読出し:2025年Q4 FDA 会合後に用量選択・AA経路を更新。
規制:Nectin-4 amp(TNBC/NSCLC)で Fast Track 取得。

P1/2
BT8009 — Duravelo-1

対象:mUC 単剤/併用(シスプラ不適格 1L 併用を含む)。

成績:1L 併用で ORR 65%(確定 50%)、重篤毒性は概ねコントロール可能。

拡張:Duravelo-3:乳がん amp / Duravelo-4:NSCLC amp をリクルート中。
ステータス:Duravelo-5(多腫瘍)は一時停止。

P1/2
BT5528 / BT7480 / BRC

BT5528:EphA2 標的 BTC(単剤/ニボ併用)。単剤で mUC ORR 45% 報告。

BT7480:Nectin-4×CD137 の TICA(単剤/ニボ併用)。

次読出し:2025年Q4 に両併用の初回データを予定。
BRC:EphA2 初回ヒトイメージングは 2025年下期、2026年に企業主導臨床開始計画。

プラットフォーム拡張

パイプライン早見表
パイプライン 対象 臨床フェーズ 規制デザイン 安全性(AESI) 用法・用量 / 併用戦略 市場規模イメージ ポイント(市場評価)
BT8009(zelenectide, Nectin-4, BTC) mUC(先行)/乳がん amp/NSCLC amp P2/3(Duravelo-2)/P1/2(Duravelo-1, -3, -4) Fast Track(amp TNBC/NSCLC)。
ランダム化コホート+拡大型の組合せでAA経路を視野
MMAE系:末梢神経障害好中球減少、皮疹/粘膜症状、悪心・下痢、疲労(Nectin-4関連の皮膚事象に留意) 単剤および1L併用(IO/プラチナ等)を用量探索→選択へ。
投与間隔は試験規定に準拠。
Q4 2025:用量選択・AA方針を更新予定
特大:泌尿器+乳/肺のampサブセット横断 1L併用 ORR 65%(確定 50%)
遺伝子増幅でバイオマーカー濃縮を狙い、EV既存領域に差別化余地。
BT5528(EphA2, BTC) 固形がん(mUC ほか) P1/2(単剤/ニボルマブ併用) 探索的バスケット→拡大型。
適応特化の拡大型で次相設計を検討
MMAE系:末梢神経障害、骨髄抑制(好中球減少)、消化器症状、疲労(眼毒性や出血傾向はクラス留意) 単剤→抗PD-1併用で用量漸増・RP2D設定を進行。
投与は試験規定(QW/Q2W/Q3W 等)に準拠。
Q4 2025:併用の初回読出し
:EphA2高発現腫瘍群 単剤 mUC ORR 45%
併用での持続性・深い奏効がキー。
BT7480(Nectin-4×CD137, TICA)/BRC(放射性バイシクル) 固形がん(免疫活性化/放射診断・治療連携) P1/2(BT7480)/
画像→臨床計画(BRC)
段階的併用探索(PD-1等)。
BRCは診断→治療のセラノスティクス設計
BT7480:免疫関連事象(ALT/AST↑、発熱、皮疹)、軽度CRS、疲労。
BRC:放射線被ばく管理、腎クリアランス/骨髄抑制リスクのモニタ
BT7480:単剤→IO併用へ拡張。
Q4 2025:併用の初回データ。
BRC:2025年下期イメージング→2026年臨床開始計画
中〜大:免疫併用・診断/治療一体の新規枠 TICA初の腫瘍選択的CD137活性化で全身毒性低減を狙う。
BRCは患者選択×治療の一気通貫が強み。

ポイント

登録軸のBT8009で 1L mUC を主戦場に据えつつ、Nectin-4 増幅の乳/肺で規制面(Fast Track)を確保。
2025年Q4用量選択+迅速承認(AA)経路アップデートが最重要マイルストン。BT5528/BT7480 の併用初回データが BTC/TICA のポジションを再定義。
現金等 \$721.5M(2025/6/30)、コスト再編(約30%)によりランウェイは〜2028年の見立て。

開発ロードマップ
進行中:2025年

Duravelo-3 / -4 リクルート

Nectin-4 amp(乳/肺)で患者登録を継続、初期シグナルの集積へ。

2025年Q4

Duravelo-2:用量選択・AA経路更新

FDA 会合後に最終用量決定と規制パスを明確化。BT5528/BT7480 の併用初回データも同時期に更新。

2025年下期

BRC:EphA2 初回ヒトイメージング

標的妥当性を確認し、治療用放射薬の臨床移行準備を加速。

2026年

BRC:企業主導臨床 起動

MT1-MMP/EphA2 等のプログラムで初回臨床を開始予定。

ポスト-2026

BT8009 登録加速

Duravelo-2 成績と amp 戦略の結果を踏まえ、腫瘍種別の登録経路(AA/確証)を具体化。

注目すべきカタリスト
短期(〜2025年Q4)
Duravelo-2 用量選択+AA経路更新 / BT5528・BT7480 併用初回データ / BRC EphA2 初回ヒトイメージング。

中期(2026年)
BRC 企業主導臨床の開始、amp(乳/肺)の初期有効性シグナル更新。

長期(ポスト-2026)
BT8009 の登録戦略確定 → 申請準備(腫瘍種別/併用中心)。