承認済み製品:なし(開発中)
主力候補:ABI-5366(長作用・経口のHSVヘリカーゼ–プライマーゼ阻害薬)— 再発性性器ヘルペス(HSV-2)。
補足:ABI-1179(同作用機序の長作用HPI)、ABI-6250(経口NTCP阻害:HDV)、ABI-4334(HBVカプシド組立モジュレーター:CAM)を併走。
対象:再発性性器ヘルペス(HSV-2)
投与:週1回経口×29日(長作用HPI)
対象:再発性性器ヘルペス
投与:週1回経口×29日
対象:健常成人(安全性/PK)
所見:低ナノモル活性、経口QD候補
対象:慢性B型肝炎
設計:28日投与で抗ウイルス活性/安全性/PK
パイプライン | 対象 | 臨床フェーズ | 規制デザイン | 安全性(AESI) | 用法・用量 / 併用戦略 | 市場規模イメージ | ポイント(市場評価) |
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ABI-5366(長作用HPI) | 再発性性器ヘルペス(HSV-2) | Phase 1b | 週1回経口×29日、排出率/病変日数 | 忍容性良好(中間);頭痛・悪心など軽度中心 | 週1回単剤。P2で症状抑制+排出抑制の二本立て主要化想定 | 大:高有病・反復再発領域 | 長作用・週1回の新規プロファイルが差別化要因 |
ABI-1179(長作用HPI) | 再発性性器ヘルペス | Phase 1b(移行中) | 週1回経口×29日、PoC評価 | HPIクラス同等の軽度AEs管理 | 週1回単剤。用量最適化で5366との位置づけ整理 | 大 | 同門のバックアップで開発リスク分散 |
ABI-6250(NTCP阻害) | 慢性D型肝炎(HDV) | Phase 1a | 健康成人の安全性/PK → P1b患者へ | 肝関連イベント・胆汁酸動態に留意 | 経口 QD。将来は標準治療との併用設計へ | 中:希少だが高アンメット | 経口エントリー阻害は差別化余地大 |
ABI-4334(CAM) | 慢性B型肝炎(HBV) | Phase 1b | 28日投与、抗ウイルス活性/PK/安全性 | 肝酵素上昇(ALT)などクラス留意 | 経口 QD。NA等との併用で持続抑制目指す | 大:HBVグローバル市場 | OD PKと強い活性を確認、併用設計が鍵 |
HSV領域では長作用・週1回経口という新規性で、ウイルス排出と病変抑制の双方をP1bで実証中。HBVはCAM(ABI-4334)で28日間の強い活性とOD PKを確認し、併用戦略へ。HDVは経口NTCP阻害で患者PoCに向けた布石を打つ段階。資金は$75.0M(2025/06/30)で2026年半ばまでのランウェイ見通し。
・長期の選択権(オプション)を最大化するための “戦略的アラインメント投資”
Gilead と ASMB は 12年の包括提携を締結(2023/10)。この枠組みでは、Gilead は各プログラムの PoC(概念実証)到達後に、最低 $45M/件のオプトイン料で独占権を取得できる条項を持ち、成功確度が上がった段階でのみ本格参画できる “段階的コミット” 設計になっています。
初回は$100M(うち$15.2Mは株式投資)、その後も持株比率を最大29.9%まで引き上げ可能と明示されています。
・自社ウイルス領域の補完:HBV/HDV/HSV を“経口の次世代薬”で強化
Gilead は HBV/HDV を含むウイルス疾患で商用実績を持つ一方、HDV の bulevirtide は米国では未承認であり(欧州等のみ)、経口NTCP阻害(ASMB: ABI-6250)のような “服用容易・拡張性の高い” 候補はポートフォリオ補完として合理的です。
HBV でも 次世代CAM(ASMB: ABI-4334)を押さえることで、既存核酸アナログとの併用最適化や “機能的治癒” アプローチにオプションを拡げられます。HSV は Gilead の空白が大きく、長作用・週1回経口の HPI(ASMB: ABI-5366/1179)で新規市場進出の足場を確保できます。
・2024–25年の “資本注入 + 条項改定” で、成果連動の上振れを狙う
2024/12、Gilead は$20.1Mの追加出資(持分29.9%へ)と$10Mの加速資金を実行。
プレミアム価格での取得で、ASMB の複数P1/1b読出し目前の局面に資金面の後押しを与え、PoC 到達のタイムラインを前倒し・確度向上させる狙いが読み取れます(オプトイン時点・支払いの一部見直しも付随)。
・“持分 29.9%” の意味:ガバナンス影響を確保しつつフル買収は回避
米市場では 30%前後が支配的持分の境界として扱われやすいライン。
29.9% に留めることで、影響力と柔軟性(将来の追加投資やオプトイン決定)を両立し、失敗リスクはASMB側に分散させられます。さらに Gilead由来のヘルペスプログラムをASMBへ移管して共同開発している点も、実務面の一体化を進める布石です。
・データで裏打ちされた “確度の高い種” を早期に囲い込む
2025/6 の ABI-4334(HBV)P1bトップライン陽性、2025/8 の ABI-6250(HDV)P1a中間、2025/7–8の ABI-5366(HSV)P1b中間と、主要3領域で前向きデータが続伸。
Gilead の追加出資(2024/12)は、これらの読出しを見据えた “先回り” であり、成功時の独占化(オプトイン)と収益分配を有利に確保する狙いと整合します。
・HSV(ABI-5366/1179)
2025年秋までの P1b PoC 最終/初回読出しの質(病変抑制+排出抑制の両立、忍容性)→ P2主要評価の切り方とレジメン(週1回)確定。ここが良ければ Gilead のオプトイン判断が現実味。
・HBV(ABI-4334)
P1b 陽性を受けた投与期間延長/併用デザインの具体化。NA併用や多剤併用で HBeAg セロコン/機能的治癒指標にどう迫るか。
・HDV(ABI-6250)
P1a 完了→P1b 設計(患者集団・投与期間・併用可否)。経口という製品性が HDV 市場でどれだけ勝ち筋になるか。
HSVプログラム PoC 読出し
ABI-5366 追加コホート/統合PoC、ABI-1179 初回PoC。
HBV 次相設計の提示
ABI-4334:投与期間延長やNA併用などの確証的デザイン公表。
HDV P1b 設計/開始
ABI-6250:P1a完了→患者PoCの開始と初期活性データ。
HSV P2 設計公表
頻回再発患者で症状抑制+排出抑制の主要評価を想定。
確証試験段階へ
HSV P2開始、HBV併用拡大型、HDV P1b→P2移行の判断。
ABI-5366 統合PoC、ABI-1179 初回PoC、ABI-6250 P1a完了→P1b計画。
ABI-4334 次相試験(期間延長/併用)デザインの確定。
HSV P2開始、HDV P1b初期活性、HBV 併用拡大型の実装。