Arvinas (ARVN)は、重篤で生命を脅かす疾患に苦しむ患者の生活の向上をミッションとする臨床段階のバイオテクノロジー企業です。
同社の PROTAC(PROteolysis TArgeting Chimera)タンパク質分解プラットフォームを通じて、Arvinas は、体の自然なタンパク質分解システムを活用し、疾患を引き起こすタンパク質を選択的かつ効率的に分解・除去するタンパク質分解療法の開発を先導しています。
Arvinas は現在、複数の開発中の薬剤を臨床開発プログラムを通じて進めています。
具体的には、局所進行性または転移性ER+/HER2-乳がん患者を対象としたエストロゲン受容体を標的とするベプデゲストラント;再発/難治性非ホジキンリンパ腫を対象としたBCL6を標的とする「ARV-393」、「ARV-102(LRRK2を標的とした神経変性疾患向け)」、および「ARV-806(KRAS G12D変異を有するがん、特に膵がんや大腸がん向け)」が含まれます。
Arvinas はコネチカット州ニューヘイブンに本社を置いています。
(該当なし:全プログラム開発中)
主力パイプライン:vepdegestrant(ARV-471|ER+/HER2−・ESR1変異 乳がん)、ARV-102(LRRK2デグレーダー|PD)、ARV-393(BCL6デグレーダー|NHL)、ARV-806(KRAS G12Dデグレーダー|固形がん)、ARV-766(luxdegalutamide|ARデグレーダー、Novartisへ導出)
提携先:Pfizer(vepdegestrant共同開発・共同販売)、Novartis(ARV-766ライセンス)
対象:進行/転移性乳がん(ER+/HER2−・ESR1変異)
設計:第3相 VERITAC-2(fulvestrant対照)でPFS優越/Pfizerと共同
2025年8月8日 NDA受理(米FDA)
2026年6月5日(PDUFA)
VERITAC-2でPFS優越/NEJM掲載・ASCO発表
対象:主にLRRK2変異を含むPD(初期は健常人→患者へ段階移行)
目的:安全性・PK/PD・CSF到達、疾患バイオマーカーでのPoM
健常人SAD/MAD完了データの最終解析→H2’25公表見込み
PD患者SAD投与中(初期データH2’25想定)
患者MAD/拡大COHORTでPoM評価へ
対象:NHL(DLBCL等)
備考:前臨床で有効性シグナル/学会で併用戦略データを継続共有
用量漸増→拡大へ(感受性サブタイプ探索)
CD20×CD3等の併用可能性を検討
対象:KRAS G12D変異固形がん(膵がん/大腸がん 等)
目的:安全性・初期活性・PK(必要に応じ併用へ拡張)
初回ヒト試験(第1相)組入れ進行中
H2’25に安全性/PKの初期アップデート想定
膵/大腸で拡大+SoC/シグナル阻害剤との併用検討
vepdegestrant:NDA受理
ER+/HER2−・ESR1変異乳がんに対するNDAをFDAが受理。PDUFAは2026年6月5日。
Q2 企業アップデート
NDA提出済の報告、ARV-102の健常人データ提示とPD患者SAD投与開始を発表。
ARV-102:初期ヒトデータ
国際学会ポスターにて第1相SAD/MADの初期所見を共有(安全性/PK、CSF到達に関する情報含む)。
ARV-102:SAD/MAD最終解析・患者初期データ
健常人SAD/MADの最終データ公表、PD患者SADの初期データ更新。
ARV-806:初期安全性/PKアップデート
第1相の初期読出し。以降は膵がん/大腸がんを中心に拡大・併用戦略へ。
ARV-393:拡大コホートと併用示唆
感受性サブタイプの探索と併用戦略の前臨床/臨床データを順次更新。
vepdegestrant:PDUFAアクション
FDAの承認可否判断。承認後は2L ESR1m単剤で上市、追跡評価(OS等)継続。
ARV-102:SAD/MAD最終データ、PD患者SAD初期データ更新/ARV-806:第1相 初期安全性/PKアップデート。
ARV-393:第1相拡大・併用示唆の追加公表。
vepdegestrant:PDUFAアクション(承認可否判断)。
vepdegestrantの適応拡張・併用展開、Pfizerとの共同商業化、他プログラムの進行に伴うパイプライン価値の拡大。
「vepdegestrant(ARV-471)」承認によるアップサイドについて
・初の承認済みPROTAC薬
Arvinasは、創薬プラットフォームの「実用化」を証明する最初の企業になります。プロテオライシス・ターゲティング・キメラ(PROTAC)の技術的信頼性が確立され、他のパイプライン価値にもポジティブな波及。
・乳がんという巨大市場
ER+/HER2−乳がんは患者数が多く、ESR1変異も数万人規模。承認直後はニッチ集団(2L ESR1m)に見えても、後続適応拡大(ESR1野生型・1L併用)により市場はさらに拡大可能。
・パートナー Pfizer による商業化体制
世界最大級の腫瘍領域販社ネットワークを持つ Pfizer と組んでいるため、ローンチ初期から高い浸透が見込める。単独での販促リスクを負わずに済む点は安心材料。
株価上昇を制限する要素
・売上の50%は Pfizer に分配
利益シェアにより、Arvinas単独で享受できる売上は半分程度。そのため承認ニュース自体は大きくても、DCFベースのアップサイドは抑制されやすい。
・ローンチ後の実績次第
Elacestrant(Orserdu)の例と同様に、承認だけでは株価の持続的上昇は保証されない。実際の処方拡大ペース、市場シェア獲得が評価の鍵。
・競合環境
SERD市場は crowded(elacestrantほか、複数のSERD開発中)。vepdegestrantは「PROTAC」という差別化があるが、医師・保険者に浸透するかはローンチ後の実データ次第。