
Artiva Biotherapeutics は、NK細胞を用いた “AlloNK®” を主力に、自己免疫疾患(RAなど)とがんを狙う企業です。
AlloNK は凍結保存のオフ・ザ・シェルフ製剤で、抗CD20抗体(リツキシマブ/オビヌツズマブ等)と併用してB細胞を深く枯渇させる設計。自己免疫の複数試験を進行中です。
RAなどB細胞駆動の自己免疫で、AlloNK+抗CD20抗体によりADCCを増強→深いB細胞枯渇を外来で実現できる可能性。5–10分の静注ボーラス投与、入院不要という運用性もセールスポイント。
Subhashis Banerjee, M.D. が2025年にCMO就任。BMSのリウマチ/皮膚科グローバル開発の疾患領域責任者(RA/derm)を務めたリウマチ専門医です。
「AlloNK」の現在地
これまで:
・B-NHL 向け Ph1/2:リンパ腫で安全性・有効性(深いB細胞枯渇+CR)をすでに示している。
・自己免疫向け Ph2a バスケット試験(NCT06991114)
– 適応:難治性RA / シェーグレン / 炎症性筋炎 / 全身性強皮症
– AlloNK+リツキシマブの組み合わせで、安全性と初期有効性を評価中。
・2025/10:難治性RA+RTX で Fast Track 指定を取得し、RA をリード適応にすると明言。
これから:
2026年上期(1H26)
・15例超の難治性RA患者の臨床レスポンスデータ(何人かは6か月以上フォロー)を発表予定。
・FDA と規制協議を実施し、「pivotal 試験デザイン」を合意するのが目標
会社コメントでは、RA における deep B-cell depletion カテゴリで「最初に global pivotal trial に進む候補になり得る」としている。
その先:Ph2/3 に進むのか?
会社は「pivotal trial」という言い方しかしておらず、単一の Phase 3 になるのか、あるいは適応型の Phase 2/3(最初は拡大型2相、途中で登録試験に昇格)になるのか、まではまだ開示していません。ただし、Fast Track 指定+アンメットの大きさを考えると、H1 2026 の FDA 協議で → 単一 pivotal (P3 or P2/3) で承認まで行けるルートを狙っているのはほぼ確実です。
まとめると:
2026年前半:FDA と協議 → デザイン合意
2026年後半〜:難治性RAで pivotal(Phase2/3 か Phase3)を開始、以降の readout / 承認タイミングはサンプルサイズとエンドポイント次第です。
2025年10月16日:AlloNK(AB-101)が難治性関節リウマチ(RA)で Fast Track 指定を取得。加えて、RA をリード適応に優先すると発表。外来で運用可能な治療モデルを強調。
2025年8月:自己免疫バスケット(RA/Sjögren/IIM/SSc)Phase 2a の初回投与完了(米国内含む≥12サイト稼働)。
2025年5月:B-NHL Phase 1/2 更新—CAR-T未治療サブセットでCR 64%(9/14)、12か月超の持続奏効を複数例で確認、ICANS なし・CRS軽度。
2025年5月:Q1’25 アップデート—自己免疫バスケットのIND クリア&試験開始を報告。
承認済み製品:なし(開発中)
主力候補:AlloNK®(AB-101)— 同種由来・非遺伝子改変NK細胞(オフ・ザ・シェルフ)。
自己免疫(SLE±LN、RA、Sjögren、IIM、SSc)および B-NHL で開発中。
補足:CAR-NK(例:AB-201/HER2)は早期段階で維持(自己免疫優先に経営資源集中)。
+リード適応選定
対象:難治性自己免疫(B細胞駆動疾患群)
投与:AlloNK + リツキシマブ(±他mAb)
対象:SLE/ループス腎炎(再発・難治)
所見:Fast Track(LN)。2024 Q2 初回投与済み。
対象:再発/難治性 B細胞NHL
所見:CAR-T未治療群でCR 64%(9/14)、12か月超の持続奏効例。外来主体の運用。
| パイプライン | 対象 | 臨床フェーズ | 規制デザイン | 安全性(AESI) | 用法・用量 / 併用戦略 | 市場規模イメージ | ポイント |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| AlloNK(自己免疫バスケット) | RA/Sjögren/IIM/SSc | Phase 2a | RAでFast Track指定(2025/10)。適応横断のバスケット/アダプティブ探索(B細胞枯渇、自己抗体、補体、疾患別PRO) | 発熱・悪寒、輸注反応、一過性好中球/リンパ減少、感染(帯状疱疹等) CRS/ICANSは概して低頻度、自己免疫の疾患増悪に注意 |
外来想定の反復投与(週次×数回→維持)/低強度前処置の要否を適応別に検証 併用:既存免疫抑制薬の段階的減量をプロトコール管理 |
大:B細胞駆動の自己免疫群 | RAをリード適応に優先。 外来での前処置運用性が普及の鍵。 |
| AlloNK(SLE ± LN) | SLE/ループス腎炎 | Phase 1/1b | Fast Track(LN)。安全性+薬理(B細胞、補体、抗dsDNA)→探索的有効性(SRI-4、BICLA、蛋白尿/腎機能) | 輸注反応、発熱、骨髄抑制、感染(RTX/OBI 併用でHBV再活性化に留意) 腎機能・補体の急性変動をモニタ |
入院/外来の少回投与→維持。ステロイド/ミコフェノール酸等は減量方針 必要に応じ抗ウイルス予防・ワクチン計画 |
中〜大:難治SLE/LN | 2025 Q4 初期集約。 腎アウトカムの早期シグナルが次段設計を左右。 |
| AlloNK + リツキシマブ(B-NHL) | 再発/難治性B細胞NHL | Phase 1/2 | Fast Track(r/r B-NHL:AlloNK+RTX)。単群→拡大でORR/CR、DOR、再投与許容性を評価 | CRSは概して軽度、発熱、輸注反応、可逆的細胞減少、感染(RTX併用でHBV再活性化に留意) | RTX併用でADCC増強。外来主体のステップアップ投与、必要に応じ低強度前処置 CAR-T前/後ラインでの位置付けを検証 |
中:CAR-T競合市場 | CR 64%(CAR-T未治療)、12か月超DOR例。 忍容性・外来運用性が差別化ポイント。 |
外来運用を前提にしたオフ・ザ・シェルフNK(AlloNK/AB-101):短時間投与(IV)と低強度の前処置(Cy/Flu)でコミュニティ施設での実装性を重視。
リード適応は難治性関節リウマチ(RA)に確定(2025/10/16発表)。米FDAがFast Track指定を付与。
2025年内(Q4)に自己免疫バスケットの初期安全性・トランスレーショナルデータを提示予定。
2026年上期に初期の臨床反応データとFDAとのレジストレーション経路協議(ピボタル移行の可否)を計画。
資金は2027年Q2までのランウェイを確保(2025/6/30時点の現金等約$142.4M)。
自己免疫P2a(グローバルバスケット)初回投与
RA/Sjögren/IIM/SScで AlloNK+mAb の多施設試験を本格稼働。
リード適応の確定とFast Track取得
RAをリード適応に選定。米FDAがFast Trackを付与。
自己免疫:初期安全性・機序データ公開
外来前処置(Cy/Flu)の導線・忍容性など実運用データも併せて提示予定。
RA:初期“臨床反応”データ/FDA協議
登録パス(単群/対照、P2/3設計やAAの可能性)をFDAとすり合わせ。
ピボタル設計確定 → 開始(結果に依存)
被験者登録とDOR追跡に基づき、加速承認経路の検討も視野。
自己免疫バスケットの初期安全性・トランスレーショナルデータ公開、Fast Track後の運用計画アップデート
RAの初期臨床反応データ、FDAとのレジストレーション戦略協議
自己免疫のピボタル設計確定・開始。B-NHLは長期追跡更新で外来実装性と持続奏効を補強
