
Abivax (ABVX) のこれまでの臨床フェーズを見て気になったのが、2022年10月11日の初患者登録から2025年7月22日のトップライン発表まで、約2年9か月を要した点です。
なぜこのような時間を要したかというと、患者登録数の大規模さ、試験デザインの構成に要因がありました。
ABTECT-1/ABTECT-2をあわせて約1,275人規模で、600以上の施設が世界36か国に分布。インダクション(誘導期)8週間 + 保続期44週間で構成されており、試験全体に長期のフォローが必要でした。
Abivax はもともとフランス・パリを本拠とするバイオテックで、ユーロネクスト・パリ市場に2015年6月にIPOしています。つまり米国では、「obefazimod」の Phase 3 実施中の2023年10月20日にADRとして IPO しています。
そのため株価も IPO 後は株式市場の動向に影響を受けた形になり、この間多くの人が見逃していたと思います。
(該当なし:全プログラム開発中)
主力パイプライン:obefazimod(潰瘍性大腸炎・クローン病)
提携先:(該当なし、単独開発中心)
対象:中等度~重度 UC 患者
試験:ABTECT 誘導期・保続期
誘導期は良好結果(2025年7月22日発表済)
保続期(44週)トップライン:2026年Q2予定
対象:中等度~重度 CD 患者
試験:ENHANCE-CD(誘導期12週)
2024年10月 登録開始
2026年後半にトップライン予定
資金:2025年7月28日 公募により約7.5億ドル調達
ランウェイ:2027年Q4まで確保
商業化準備(販売体制・パートナー戦略)を進行中
| パイプライン | 対象 | 臨床フェーズ | 規制デザイン | 安全性(AESI) | 用法・用量 / 併用戦略 | 市場規模イメージ | ポイント(市場評価) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Obefazimod(ABX464)— UC | 中等症〜重症 潰瘍性大腸炎(UC) | Phase 3(ABTECT-1/-2 8週導入:完了/維持:進行中) | グローバルP3(導入8週→維持44週) | 感染症、消化器症状、肝酵素変動等を標準監視 | 経口 50mg 1日1回。先行治療歴に依らず単剤で誘導→維持。将来的に標準治療との併用探索余地 | 大:IBD主要適応(UC) | 8週導入で主要評価項目(臨床的寛解)を達成(2025年Q3トップライン)。重症・多剤不応でも有効性示唆。 維持44週データ:2026年Q2 予定 → 承認申請:2026年下期 目標。 (出典:公式IR/パイプライン更新) |
| Obefazimod(ABX464)— CD | 中等症〜重症 クローン病(CD) | Phase 2(ENHANCE-CD:導入12週) | P2 多施設 無作為化(患者登録 2024年開始) | 感染症、消化器、肝酵素変動を標準監視 | 経口 1日1回。導入後に維持設計を評価 | 大:IBD主要適応(CD) | 導入12週の初回読み出し:2026年下期 目安。UCのP3成功を受け、同一機序の適応拡大で上振れ余地。 (出典:公式パイプライン/IR) |
UC:Phase 1(健常人)
安全性・忍容性・PKを確認。大きな問題なし。
UC:Phase 2a
中等度〜重度UC患者で有効性シグナルを初確認。臨床的寛解率の改善を確認。
UC:Phase 2b(ABX464-102, 232例)
主要評価項目(Week 8 臨床的寛解率)を達成。50mg群で統計的有意差。内視鏡改善や粘膜治癒も有意。安全性も良好。
UC:長期投与試験(Phase 2a Extension)
寛解維持・再燃抑制効果を確認。長期投与でも新たな安全性懸念なし。
UC:Phase 3(ABTECT-1 / ABTECT-2, 誘導期)
最初の患者登録開始。約1,200例規模の国際試験に着手。
UC:ABTECT 誘導期(Ph3)
トップライン結果を発表、主要評価項目を両試験で達成。株価は最大600%急騰。
UC:ABTECT 保続期(44週, Ph3)
トップライン結果読み出し予定。長期有効性・安全性確認が規制当局申請の前提。
CD:ENHANCE-CD(Ph2b)
12週誘導期トップラインデータを発表予定。適応拡大の重要なマイルストーン。
UC:規制当局申請
NDA/MAA 提出 → 承認審査入り。
UC ローンチ
初の商業化を実現し、CD適応拡大の検討も進行。
UC 誘導期(Ph3)トップライン結果 → 良好(発表済)。
UC 保続期(44週, Ph3)トップライン結果。
CD Phase 2b データ、UC の NDA/MAA 申請 → 初ローンチ。
