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【APVO】Aptevo Therapeutics カタリストとロードマップ

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【APVO】Aptevo Therapeutics カタリストとロードマップ

mipletamig、AMLを対象としたRAINIER試験のコホート3で100%の寛解率を達成

APVO は2025年9月16日、RAINIER試験において用量制限毒性およびサイトカイン放出症候群は認められず、「mipletamig」は一貫して良好な安全性および忍容性を示した。試験は効率的に進行中、コホート4が登録開始したことを発表しました。

このニュースは、フロントラインAMLでSOC(ベネトクラクス+アザシチジン)を上回りうる“効果の大きさ”と“安全性シグナル”、それに近い将来の明確なカタリストです。

・Cohort 3 でCR/CRi=100%
mipletamig+VEN/AZAのRAINIER試験で、これまでの最高用量コホートが全例寛解。DLT/CRSなし、MRD陰性化も40%、Cohort 4が進行中。Q4に大きな学会で発表予定。同剤はAMLでオーファン指定。

・SOC 対比の “上積み” が見える
VIALE-AでのVEN+AZAのCR/CRiは約66%がベンチマーク。これに対して、「mipletamig」併用はコホート1~2でも高い寛解率(例:90%)が報じられており、「明確な効果差」を連想させます(もちろんNは小さい)。

・安全性の手応え
「mipletamig」はCD3結合ドメインを工夫しCRSの可能性を低減する設計。実際、RAINIERではこれまでCRS報告なしとされます(要追跡ですが、TCEでこれは目を引く)。

今後のカタリスト

・Q4学会での詳細開示(用量反応・寛解の深さ=MRD・持続期間・造血回復)。ここが良ければレジストレーション戦略(P2拡大~P3)に現実味。

・Cohort 4 の読み(さらなる用量最適化と再現性)。

・規制面の前進(BTD等の可能性)。これは推測ですが、高いCR/CRi+安全性+未充足はBTDの典型的条件に合致しやすいパターン。根拠は前述データ群。

承認済み製品 / 現状

承認済み製品:なし(開発中)

主力候補:mipletamig(CD3×CD123 二重特異 T 細胞エンゲージャ)— AML(初発で集中療法不適合を含む)を対象。

補足:ALG.APV-527(4-1BB×5T4、共同開発)、APVO442(PSMA×CD3:前臨床)、APVO455(Nectin-4×CD3:前臨床)が続く。

主要臨床成績
Q4 2025
mipletamig(RAINIER)追加データ(AML)

Q4 2025
ALG.APV-527 P1 継続データ(用量漸増)

2026
mipletamig 後期試験デザイン更新(データ次第)

2025 Q4
ランウェイの目処(6–8月調達反映後)

臨床試験パイプライン
Phase 1b/2
mipletamig(AML)

対象:急性骨髄性白血病(初発非適合を中心)

作用:CD3×CD123 二重特異 T 細胞エンゲージャ

進捗:RAINIER:ベネトクラクス+アザシチジン併用を骨子に用量拡大中
安全性/PD:薬剤起因 CRS 目立たず、前向きな有効性シグナル
次読出し:Q4 2025 追加データ

Phase 1
ALG.APV-527(固形がん)

対象:5T4 発現固形腫瘍

作用:4-1BB×5T4 二重特異(TME 依存の共刺激)

進捗:用量漸増継続、初期の生物学的活性と概ね良好な忍容性
次読出し:Q4 2025 継続データ/方針更新

前臨床
APVO442(PSMA×CD3)

対象:PSMA 陽性前立腺がん

作用:CD3×PSMA 二重特異(固形腫瘍最適化アーキテクチャ)

進捗:腫瘍集積と T 細胞活性化を前臨床で確認
初回データ:学会・ポスターで順次更新

IND-enabling 準備(APVO455 へも展開)

パイプライン早見表
パイプライン 対象 臨床フェーズ 規制デザイン 安全性(AESI) 用法・用量 / 併用戦略 市場規模イメージ ポイント(市場評価)
mipletamig(CD3×CD123) AML(初発非適合 ほか) Phase 1b/2 併用中心設計(Ven+AZA を骨子に適応探索型) クラス留意:CRS/ICANS、骨髄抑制、感染症を重点監視(現状は良好な忍容性を示唆) 静脈投与(周期投与)+Ven/AZA 併用最適化 中〜大:高齢/非適合の未充足 CRS 回避を掲げた CD123×CD3 の差別化。
Q4 2025 追加データ予定
ALG.APV-527(4-1BB×5T4) 5T4 発現固形がん Phase 1 用量漸増→最適用量域の確定後、拡大/併用へ クラス留意:肝毒性/免疫関連事象(TME 依存活性化で抑制を設計) 単剤 → 抗 PD-(L)1 等の併用探索 大:複数固形腫瘍で標的発現 早期活性シグナル。次は用量域確定と適応絞り込み
APVO442(PSMA×CD3) 前立腺がん(PSMA 陽性) 前臨床 IND-enabling へ向け最適化 クラス留意:CRS/腫瘍随伴毒性(前臨床でプロファイル評価) 静脈投与想定。将来は標準治療との併用余地 大:前立腺がん市場 腫瘍選択的活性化の設計で差別化余地
APVO455(Nectin-4×CD3) 固形がん(Nectin-4 発現) 前臨床 PSMA系と同骨格で早期 PoC→IND-enabling へ クラス留意:皮膚/神経系含む免疫関連事象の監視 静脈投与想定。将来は抗体薬/ADC とのシークエンス検討 大:尿路上皮/乳腺 ほか 既承認 Nectin-4 標的薬との差別化(機序×毒性管理)

ポイント
  • 開発の軸:血液(mipletamig)×固形(ALG.APV-527/APVO442/455)の二本立てで、CD3 架橋の最適化に集中。
  • 実装戦略:mipletamig は Ven+AZA の現行標準に上乗せする現実的レジメン設計で承認パスを意識。
  • 財務:現金等と 7–8月の調達反映で2025年Q4までのランウェイ見通し。

開発ロードマップ
完了:2025年Q1–Q2

mipletamig(RAINIER)運用拡張/ブランド統一

旧 APVO436 からのブランド移行とともにコホート拡張・解析計画を更新。

進行中:2025年Q3

ALG.APV-527 P1 用量漸増

初期活性シグナル確認後、最適用量域の探索を継続。

2025年Q3(2025-09-16)

mipletamig(RAINIER)コホート3:CR/CRi 100%

DLT/CRS なし。コホート4は登録進行中。
Q4に主要学会での提示を予定。

2025年Q4

mipletamig 追加読出し / ALG.APV-527 継続データ

AML の CR/CRi・MRD 指標や反応持続の更新、固形腫瘍の次段計画アップデート。

2026年〜

mipletamig 後期試験設計 / 固形腫瘍群の拡大

RAINIER 成熟データを踏まえレジストレーショナル戦略へ。固形腫瘍は用量拡大・適応最適化へ。

注目すべきカタリスト
短期(〜2025年Q4)
mipletamig 追加データ、ALG.APV-527 継続データ、APVO442/455 の前臨床ポスター/IND-enabling 進捗

中期(2026年)
mipletamig 後期試験デザイン確定、ALG.APV-527 の用量拡大/併用方針

長期(2026年以降)
固形腫瘍 CD3 架橋群(APVO442/455)の IND 段階進展