
UroGen (ウロゲン・ファーマー / URGN) は、尿路上皮がんおよび特殊ながんに対する革新的な治療法の開発と商業化に取り組むバイオテクノロジー企業です。
同社は、既存薬の治療プロファイルを改善する可能性を持つ独自技術として、「RTGel」リバースサーマル・ハイドロゲル(逆温度感応性ハイドロゲル)という持続放出型プラットフォームを開発しました。
この持続放出技術は、薬剤を尿路組織に長時間曝露させることを可能にし、局所療法の有効性を高める潜在力を持ちます。同社の最初の製品は、低悪性度上部尿路尿路上皮がんの治療薬として承認されています。
また、2つ目の製品「ZUSDURI(有効成分:マイトマイシン)」は、再発性 LG-IR-NMIBC(低悪性度・中間リスク・非筋層浸潤性膀胱がん)の成人患者を対象とする膀胱内注入用製剤として承認されています。
これら2つの製品はいずれも、外科的手術を行わずに腫瘍を消失させることを目的としています。本社は米国ニュージャージー州プリンストンにあり、イスラエルにも事業拠点を構えています。
UroGen は、従来の手術中心だった膀胱がん・尿路がん治療に対して、局所持続放出技術というプラットフォームで差別化しているのが大きな特徴です。
特に「ZUSDURI」は2025年6月にFDA承認されており、既存薬(マイトマイシン)を革新的なデリバリー技術で再定義した例として投資家から注目されています。
URGN の青写真
Urogen Pharma は、“ZUSDURI+JELMYTO” に加えて、今後「UGN-103(次世代・膀胱内)」、「UGN-104(上部尿路向け次世代)」が承認まで到達すれば、泌尿器 × RTGel® の3本柱で商業バイオとしてスケールしやすい体制になります。
今後の鍵は、
1. ZUSDURIの立ち上がりKPI
2. UGN-103/104の “経済性アップ(製造効率・再調製の簡素化・供給安定)” と売上の重なり
3. 償還(Jコード)とサプライチェーンの確度
です。
シナリオ(現実的な道筋)
・「ZUSDURI(承認済)」
LG-IR NMIBC で唯一の薬剤。Q3以降の実売上寄与が始まり、「JELMYTO」のベース+「ZUSDURI」の新規で “二本柱” が成立。CR 78–79%(3か月)/耐久性データで臨床ポジションは明確。償還は当面miscコード→恒久Jコード(26年見込み)の移行で加速余地。
・「UGN-103(次世代ミトマイシン|膀胱内)」
Ph3「UTOPIA」組み入れ完了。承認で「ZUSDURI」の後継/併走として製造・調製の簡素化やコスト改善が示せれば、粗利と供給安定に寄与=商用オペの効率が上がる。
・「UGN-104(上部尿路・次世代JELMYTO)」
RTGel × medac 製剤の新処方。LG-UTUC での Ph3 入りを前提に、承認で上部尿路の刷新とフランチャイズの特許/製造耐久性の延伸が期待できる。75mg規格や再構成の簡素化、製造期間短縮といった “経済性の上積み” が示唆されている点が商用上の肝。
リスク/ブレーキ要因
・償還摩擦の長期化
「ZUSDURI」のmisc請求期の長引きは浸透鈍化要因。恒久Jコードのタイミング/中身次第。
・単群依存への懸念
ODACでの接戦経緯から、一部payer審査が厳密化する可能性。実臨床アウトカムの積み上げが重要。
・製造/関税・供給地
medac依存×製造地(米国外)なら、政策(関税)や物流の不確実性がコストに波及し得る。US内fill-finishの移行可否が評価点。
目先の動向
ベース(JELMYTO)+新規(ZUSDURI)で “商用二本柱” は既に成立。「UGN-103/104」が承認し、経済性(製造・再構成・供給)の改善が実データで示されれば、商用フランチャイズの耐久性と粗利が改善し、“商業段階のバイオ企業としての起動” は現実味が高い。
当面は「ZUSDURI」のQ3/Q4トレンドとJコード付与、「UGN-103(UTOPIA)」の最終読出し→申請、「UGN-104」の Ph3 進捗を主要チェックに据えるのが合理的です。
承認済み製品:2製品(ZUSDURI™ / JELMYTO®)
ZUSDURI™(mitomycin for intravesical solution|旧UGN-102):
再発性 低異型度・中等度リスク NMIBC(LG-IR-NMIBC)。2025/6/12 FDA承認。
75 mg週1×6回膀胱内注入。
Q3 2025 売上 $1.8M、10月の需要ベース売上暫定 $4.5Mと立ち上がり加速。
Jコード J9282 付与(2026/1/1発効)。
保険アクセスはカバー済み人口296M超/カバレッジ95%超、
起動施設592、処方医54(うちリピート16)。
JELMYTO®(UGN-101):
低異型度 上部尿路尿路上皮がん(LG-UTUC)。
Q3 2025 売上 $25.7M(基礎需要ベースYoY +13%)。
FDA は単群P3(UTOPIA)のデータに基づくNDA提出計画に同意。
UGN-103のNDAは2026年下期提出→2027年承認の可能性。
用法:75 mg 週1×6回の膀胱内注入
デザイン:単群P3(UTOPIA)
位置づけ:次世代 mitomycin 処方(RTGel × 新規処方)
概要:Phase 1完了後、社内ベンチマーク不達で開発中止。
Agenus とのライセンスは通知済(終了は通知180日経過等の条件)。
局所投与のPoC(膀胱内曝露・全身吸収最小化)は達成。
計画:IND準備中、2026年にP1開始目標。
| パイプライン | 対象 | 臨床フェーズ | 規制デザイン | 安全性(AESI) | 用法・用量 / 併用戦略 | 市場規模イメージ | ポイント(市場評価) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ZUSDURI™(mitomycin|膀胱内) | LG-IR-NMIBC | 上市後 | ENVISION(単群P3)根拠 | 局所反応(排尿時痛・頻尿・血尿等) | 75 mg 週1×6回 | 大:外来での非手術オプション | Jコード(2026/1/1)で償還平滑化・普及加速に追い風。 |
| UGN-103(次世代 mitomycin) | LG-IR-NMIBC | Phase 3 | 単群P3(UTOPIA)→2026年下期NDA | 局所刺激・感染・血尿等 | 週1×6回(製造・再懸濁の簡便化を設計) | 大:ZUSDURIの後継/補完 | 3か月CR 77.8%。製造短縮・調製簡便化で運用性改善を狙う。 |
| UGN-104(上部尿路用 新処方) | LG-UTUC | Phase 3 | 単群P3 進行中 | 上部尿路特有のAESI(狭窄・感染) | カテーテル投与 | 中 | JELMYTOの“次世代処方”検証。 |
| UGN-301(抗CTLA-4) | 高異型度NMIBC等 | 開発中止 | — | 免疫関連事象(局所投与で最小化狙い) | 膀胱内投与(PoC到達) | 中 | 戦略的に停止、RTGel®の汎用性は確認。 |
| UGN-501(次世代OV) | 膀胱がん等 | 前臨床→P1計画 | 2026 IND/P1 目標 | 局所炎症等 | 局所投与×RTGel | 中 | ローカル免疫療法プラットフォーム拡張。 |
-
ZUSDURI 立ち上がり加速:
Q3 $1.8M → 10月需要 $4.5M、Jコード(2026/1/1)で償還整備が追い風。 -
次世代ライン拡張:
UGN-103はNDA 2026年下期提出計画にFDA同意、
CR 77.8%でENVISION整合。 -
資金とガイダンス:
現金$127.4M(9/30時点)。JELMYTO通期売上ガイダンス$94–98Mを維持。
UTOPIA(UGN-103)登録完了・3か月CR公表
CR77.8%。NDA 2026年下期提出でFDAと合意。
ZUSDURI 商業化:立ち上がり継続
需要加速(10月暫定$4.5M)。カバレッジ95%超・起動施設拡大。
ZUSDURI Jコード発効
J9282 有効化で請求簡素化・採用拡大を後押し。
UGN-103 NDA 提出
単群P3(UTOPIA)に基づき提出、2027年承認の可能性。
ZUSDURI 需給/償還アップデート(Jコード準備、起動施設/処方医の増加)
UGN-103 NDA提出、UGN-104 P3 継続アップデート
UGN-103 承認可否、UGN-501 IND→P1 開始
