
「IBTROZI(ROS1)」のFDA承認
NUVB は、25年6月11日の「IBTROZI(ROS1)」のFDA承認後に現実売りが降ってきたようです。この頃、まだトランプ関税の先行きも不透明で、一旦利益確保したいという投資家が多かったかもしれません。
他にも、「IBTROZI」の対象となる ROS1 陽性 NSCLC は希少がん領域に分類され、NSCLC 全体の約 1–2%(報告幅 0.9–2.6%)。米国で年間約 3,000 人前後という規模間や、競合 (repotrectinib(Augtyro, 2023承認)、entrectinib(Rozlytrek, 2019)、crizotinib(Xalkori, 2016)と既存ROS1 TKI) などラベルの見え方やローンチ懸念で売られたとの説もあります。
承認後も株価が冴えない理由
・市場規模は “NSCLC全体” ではなくROS1サブセット
米国のROS1陽性はNSCLCの約2%(新規約3,000人/年)と小さく、立上げ初期の売上は限定的に見えます。実際、FDA承認(2025/6/11)直後に株価は下落し、「ラベル(適応・注意事項)や競合を織り込んだ現実的な立上げ」を市場が意識しました。
・立上げ初月の売上は “チャネル在庫+無料トライアル” 混在
2Q25の製品売上$1.2Mは承認後13営業日分で、初月は無償導入(Free Trial)で保険審査待ち→2か月目から実売上という会計上のタイムラグがあります。したがって四半期“見え方”が弱く見えるのは構造的。
・強力な競合がすでに定着
先行薬repotrectinib(BMS, Augtyro)やcrizotinib(Xalkori)、entrectinib(Rozlytrek)が存在。repotrectinibはCNS/耐性変異での実臨床実績が厚く、医師・ペイヤーの既存慣行を崩すのに時間がかかります。
・ラベル上の “要注意事項” がある
肝障害・間質性肺疾患/肺炎、QTc延長、骨折などの警告/注意が明記。空腹時600 mg qd(前後2時間絶食)という服用要件もあり、実臨床での使い勝手やペイヤー審査に影響し得ます。
・価格・アクセスの摩擦
月額$29,488と報じられており、事前承認やステップセラピーの運用でリードタイムが生じがち。中国は承認済ですがNRDL収載は2026年目安で、海外売上の寄与も時間差があります。
承認済み製品:IBTROZI™(taletrectinib)
主力候補:ROS1陽性非小細胞肺がん(NSCLC)— 米国で2025/6/11承認、中国で2024/12承認。
補足:NCCNガイドラインで2025/6/20にPreferredに追加。米国ローンチ7週で70例開始。
対象:ROS1陽性 NSCLC
投与:経口(次世代ROS1阻害薬)
対象:IDH1変異膠腫
投与:経口・脳移行性mIDH1阻害薬
対象:進行固形がん(HER2−乳がん、mCRPC、膵がん、PROC等)
投与:Drug-Drug Conjugate(DDC)
対象:進行固形がん
投与:BD2選択的BET阻害薬
| パイプライン | 対象 | 臨床フェーズ | 規制デザイン | 安全性(AESI) | 用法・用量 / 併用戦略 | 市場規模イメージ | ポイント(市場評価) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| IBTROZI™(taletrectinib) | ROS1陽性 NSCLC | 承認済(米国/日本)・中国承認済(DOVBLERON®) | 米FDA承認(2025/06/11)/NCCN「Preferred」/日MHLW承認(2025/09/19) | ROS1 TKIクラス留意:肝酵素上昇、間質性肺疾患/肺毒性、QTc延長、浮腫、下痢、中枢神経系事象 | 一次・二次治療での単剤使用(脳転移含む)/適正使用ガイダンスに準拠 | 特大:グローバルNSCLC市場のROS1陽性セグメント | 承認初月$1.2M(13営業日)、7週で70例開始と順調な立上り |
| Safusidenib | IDH1変異膠腫 | Phase 2(無作為化維持療法) | FDAとレジストレーショナル設計を協議中(H2’25に設計更新予定) | IDH阻害剤クラス:肝酵素上昇、QTc延長、疲労/(注意)分化症候群様のリスク評価 | 標準治療後の維持療法を想定(単剤)/併用は探索段階 | 中:希少脳腫瘍(高アンメット) | 維持療法という開発ポジショニングでPivotal移行の現実味を探る局面 |
| NUV-1511(DDC) | 進行固形がん(HER2−乳がん等を含む横断) | Phase 1/2(用量漸増) | — | プラットフォーム特性の評価中:骨髄抑制、肝腎機能、消化器事象を重点監視 | 単剤で至適用量探索 → 適応別に併用可能性を段階的に評価 | 大:複数適応横断の可能性 | H2’25 初回アップデートがプラットフォーム価値の初期検証に |
| NUV-868(BD2選択的BET阻害) | 進行固形がん | Phase 1/1b完了(社内評価中) | — | BETクラス:血小板減少、貧血、肝酵素上昇、消化器症状、疲労 | 単剤/探索的併用の結果を踏まえ再設計(現時点でP2拡大は非実施) | 中:エピジェネティクス領域 | 差別化(選択性/忍容性)の示し方が次段階判断の鍵 |
IBTROZI 米FDA承認
ROS1陽性NSCLCに対し、米国で承認取得。
Safusidenib P2デザイン更新
維持療法としての無作為化試験設計アップデート。
NUV-1511 初回データ
用量漸増の初回アップデート予定。
IBTROZI 中国NRDL収載見込み
アクセス拡大に向け収載が期待される。
Safusidenib P2更新、NUV-1511初回データ。
IBTROZI 中国NRDL収載、Safusidenib pivotal入り。
NUV-1511 PoC確立 → 適応拡大、NUV-868の戦略判断。
