
Design Therapeutics(DSGN)の「DT-216P2」は新製剤での初期データがこれから本格化する段階です。
長期の “利便性/新規性” ポテンシャルなら Design の小分子での全身投与(IV/皮下)の設計は、将来的に投与利便性や組織分布の面で利点になり得ます。
ただし核心のPD(FXN蛋白)と持続性、安全性の最終像はこれから。12週データが2026年予定のため、検証前です
承認済み製品:なし(開発中)
主力候補:DT-216P2(GeneTAC®)— フリードライヒ失調症(FA)を対象。
補足:DT-168(FECD点眼)、DM1/HD向けGeneTAC®も開発進行中。
P1製剤比(DT-216P2)
対象:フリードライヒ失調症(FA)
投与:GeneTAC®小分子、反復結合でフラタキシン発現増加
対象:フックス角膜内皮ジストロフィー
所見:P1(健常人SAD/MAD)良好な忍容性。患者P2バイオマーカー試験開始
対象:DM1、ハンチントン病(HD)
所見:反復配列に結合し病的転写をダウン
| パイプライン | 対象 | 臨床フェーズ | FDA評価 | 市場規模イメージ | 市場評価 |
|---|---|---|---|---|---|
| DT-216P2(GeneTAC®) | フリードライヒ失調症(FA) | Phase 1/2(RESTORE-FA) | 米国INDはclinical hold中 | 希少疾患、遺伝性失調症の高アンメット領域 |
初期PK良好、曝露改善。注射部位血栓性静脈炎の懸念低減傾向。 12週データ(2026年)が概念実証の山場。 |
| DT-168(GeneTAC® 点眼) | フックス角膜内皮ジストロフィー(FECD) | Phase 1終了→P2開始 | 健常人P1で良好な忍容性 | 角膜移植に依存しない新規治療領域 | バイオマーカー中心のP2進行。臨床症状改善へ段階的検証が必要。 |
| DM1 GeneTAC® | 筋強直性ジストロフィー1 | Preclinical | 2025年内に候補選定予定 | 中:希少筋疾患領域 | 適応拡大候補。前臨床段階。 |
| HD GeneTAC® | ハンチントン病 | Preclinical | 前臨床評価中 | 中:神経変性疾患の高アンメット | 候補分子評価継続。 |
GeneTAC® とは?
「GeneTAC®」は小分子で反復配列に結合し、転写を上げたり下げたりすることで病態原因に介入する独自プラットフォーム。遺伝子改変は行わず、全身分布性に利点がある。
GeneTAC(Gene Targeted Chimera)は、疾患原因遺伝子の転写量を “上げる/下げる” ことを目的に設計された低分子の二機能分子です。
構成:
1. DNA結合モジュール…疾患の反復配列(例:GAA/CTGなど)や特定配列に選択的に結合
2. リクルート(誘導)モジュール…内在性の転写/スプライシング装置を“引き寄せ”、発現回復やミススプライシング是正を促す
→ これにより、遺伝子編集を使わずに原因遺伝子の機能を回復/抑制することを狙います。
例)FRDA(フリードライヒ失調症)ではFXN遺伝子のGAAリピートに結合し転写を回復、FECD(フックス角膜内皮ジストロフィー)ではTCF4のCTGリピートに結合しRNAフォーカイ/ミススプライシングを是正する設計。
Friedreich’s Ataxia Research Alliance
GeneTAC の要点(他手法との違い)
・編集なし(切らない):CRISPR等と違いゲノムを改変しない転写/スプライシング“制御”治療。
・配列選択性:病因反復配列を足場にすることで、病変組織での選択性を担保しやすい設計。
・剤形の柔軟性:全身投与(静注/皮下)や点眼など低分子らしい投与が可能。
プラットフォームの“強み”と“留意点”
【強み】
・疾患原因に直結:反復配列起点の根治志向(発現回復/異常スプライシング是正)。
・低分子の機動性:点眼/静注/皮下など投与柔軟性と製造スケールの優位。
・臨床でのメカニズム実証:FRDAのDT-216でFXN mRNA増加をヒトで示し、“転写を動かせる”ことを確認済み。
【留意点】
・局所反応/投与経路最適化:初代DT-216では注射部位の耐容性が課題でDT-216P2に継承。
・組織到達性:標的組織(中枢/心筋など)で十分な濃度を得る設計・製剤が鍵。
・バイオマーカー設計:FECDは切除角膜での分子指標という合理的設計だが、臨床転帰(視機能)への橋渡しの実証が必要。
「DT-216」Ph2 は臨床 hold 対応が焦点。「DT-168」はバイオマーカー試験進行中。DM1は2025年内候補選定予定。
DT-216P2 ex-US MAD開始
健常人SAD良好。豪州などで患者投与進行。米国はclinical hold対応中。
DT-168 P2開始/DM1候補選定
FECD患者でバイオマーカー評価試験開始。DM1候補分子を確定予定。
DT-216P2 12週データ
フラタキシン発現などのPD・安全性データ公開。PoC級イベント。
DT-216P2:臨床hold解除の可否。DT-168:P2試験開始。DM1候補選定。
DT-216P2:12週データ公表。PoC級イベント。
最大4つのPoCデータ創出の資金ランウェイ。HD/DM1含む拡張。
