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ダニエル・ヤーギン氏、イラン戦争の石油への影響は紛争の長期化次第となる

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2026年3月2日、原油価格は再び上昇し、70ドル台に戻っています。背景には、イランでさらに供給が混乱する可能性への懸念があります。S&Pグローバル副会長のダニエル・ヤーギン氏がこの状況について解説します。

イランが依然としてホルムズ海峡を封鎖できる能力を持っているのか?

まず最初の疑問は、イランが依然としてホルムズ海峡を封鎖できる能力を持っているのか、そしてその能力を弱めるために何ができるのかという点です。

現在、人々はホルムズ海峡を通過することを恐れています。実際、タンカーの航行はほぼ停止しています。イラン側は法的根拠もなく通過を認めないと主張していますが、タンカーの所有者や運航会社が最も懸念しているのは、ドローンなどによる攻撃の物理的な危険です。

ここは世界の石油の約20%、そしてLNGの約20%が通過するルート

その結果、ホルムズ海峡を通じた石油の輸送はほぼ止まっています。ここは世界の石油の約20%、そしてLNGの約20%が通過するルートで、主にアジア向けに供給されています。

つまり、世界のエネルギー供給の大きな「ボトルネック」が事実上閉じられている状況です。

長期的な影響について

長期的な影響については、今回のケースがこれまでと違うのかという点が重要です。これまでにもこうした緊張は何度もあり、1か月後には「心配するほどではなかった」と言われるケースも多くありました。

しかし今回のポイントは、どれくらい長く続くかという点です。もしこの状況が1週間程度で終わるなら、市場は調整し、石油供給も別ルートである程度補えるでしょう。

湾岸地域から紅海に石油を運ぶパイプラインも存在しますし、現在は世界的に石油が比較的余剰気味でもあります。しかし、この状況が長く続けば、過去50年間ずっと懸念されてきた「最悪のシナリオ」に近づく可能性があります。

結局すべては期間次第です。

もう一つ重要なのはインフラ

もう一つ重要なのはインフラです。注目はタンカーの航行に集まりがちですが、石油・ガスのインフラそのものにも影響が出ています。サウジアラビアはドローン攻撃の懸念から最大級の製油所を停止しました。

またカタールも安全上の理由からLNG生産を抑制しています。今後5日ほどで状況の見通しがもう少しはっきりするでしょう。大統領もこの戦争は4週間ほど続く可能性があると述べています。

イランが地域の近隣諸国に対して攻撃を広げている点

また、イランが地域の近隣諸国に対して攻撃を広げている点も予想外でした。多くの人は、イランが地域のすべての国に対して攻撃を行うとは考えていなかったからです。

実際、私は2週間前にその地域のある国にいましたが、その時点ですでに戦争への懸念がありました。その国は「我々は空域を閉鎖し、アメリカの航空機の発進も認めていないので攻撃されることはない」と言っていました。

しかし実際には攻撃を受けました。今わからないのは、これがイラン上層部からの命令なのか、それとも指揮系統が崩れて各勢力が無秩序に攻撃しているのかという点です。ただ、この行動によって戦争の性質は変わりました。

現在、UAEやサウジアラビアなどの国々は、イランとの戦いに参加する可能性があると言われています。

彼らは石油市場だけでなく世界経済全体に最大限の混乱を引き起こそうとしている

イランの立場から見ると、これはあまり賢明な戦略とは言えませんが、彼らは石油市場だけでなく世界経済全体に最大限の混乱を引き起こそうとしているように見えます。

彼らが狙っているのは、エネルギー価格だけではなく金融市場にも影響を与えることです。ただしイラン自身も石油輸出に依存しています。

かつての最高指導者は石油依存から脱却する必要があると言っていましたが、それは実現できませんでした。現在でもイランはおよそ150万バレル程度の石油を輸出しています。

そのため、イラン自身にとってもホルムズ海峡が完全に閉鎖されることは大きな打撃になります。